信州リンゴ【セイヨウリンゴという植物の旅】

信州リンゴと北アルプス
国内では青森に次いで、生産量が多い信州・長野県のリンゴ。

信州で暮らしていると、広大なリンゴ畑や直売所の看板も目について、やはり産地だなと実感します。

この記事では、セイヨウリンゴ(西洋林檎)という中央アジア原産の植物について、西洋文化との違いも交えながら、書いてみたいと思います。

信州のリンゴの季節

左はシナノゴールド、右は秋映
左はシナノゴールド、右は秋映。

リンゴのシーズンは秋映から始まり、シナノスイート、シナノゴールド(信州りんご三兄弟)、年が明けるとフジだけになります。

産直市場に行くと大量にリンゴが並び、それぞれの季節を感じられるのは信州らしい光景だと思います。

イギリスでの個人的なリンゴ体験

青空とリンゴ畑
安曇野の辺りを車で通過すると、広大なリンゴ畑に囲まれます。

秋から冬にかけての定番の味覚・リンゴですが、欧米に行くとリンゴの身近さは信州の比ではありません。

20年以上前、僕は語学研修でロンドン郊外の寮に滞在しました。

ある日のランチは、サンドイッチとキットカット、そして1個のリンゴだった事があって、当時はカルチャーショックを受けましたが、その後も何か勉強すると、いろんな分野で西洋との違いとして、リンゴは象徴的な存在だと感じます。

西洋のリンゴ、日本のリンゴ

リンゴとチーズのピザ
チーズの上にリンゴ、仕上げにハチミツをかけたピザは我が家の冬の定番です。

青森でも信州でも、現在流通しているリンゴは「西洋リンゴ」で、日本に移入されたのは明治時代以降です。

平安時代から、観賞用としての「和リンゴ」が存在しましたが、食用としてのリンゴの歴史は意外と短いと言えます。

西洋では、アダムとイヴの禁断の果実であり(イチジクやブドウとされる場合もありますが)、ウィリアム・テルが射抜いた果実であり、ニュートンの万有引力の果実でもあるリンゴは、やはりリンゴでなければならなかったのでしょう。

ジャガイモもトマトもリンゴと呼ばれ

薪ストーブで焼いたリンゴ
薪ストーブで焼いたリンゴ。温めて食べるのも冬ならではの楽しみです。

「一日一個のリンゴは医者を遠ざける」は、イギリスの言い伝えですが、ペクチンなどの食物繊維や、リンゴ酸やビタミン、ミネラルといった栄養的な側面と、耐寒性や保存性も重宝されてきたのでしょう。

利用価値の高い野菜や果物の代名詞にもなっていて、ジャガイモは「大地のリンゴ」、トマトは「天国のリンゴ」とも呼ばれます。

味も用途も異なる、ジャガイモやトマトに例えられるのはリンゴの万能性でしょうか。

原産地である中央アジアから西へ伝わり、重要な役割を担ってきたのに比べると、東へ伝わった日本のリンゴは、果物という範疇でしかありませんでした。

丸かじりするリンゴ

iPhoneのAppleマーク
iPhoneのAppleマーク。

しかし今後はイメージも変わっていくのでしょうか。

イギリスでもアメリカでも、多くの人がリンゴを丸かじりしていますが、自分は皮を剥きます。

食物繊維を取るなら皮ごと食べたほうが良さそうだけど、剥いています。

iPhoneやパソコンのリンゴマークを、こうして毎日見ていても、影響を受けていません、今のところ。

そしてまた、海外で食べるよりも、日本のリンゴの方が美味しいと思うのは、日本の農家の技術と努力はもちろん、求めるものの違いもあります。

春の花から眺める秋冬の味覚

リンゴの白い花
リンゴの白い花。春に眺める花もまた、リンゴ畑の楽しみでもあります。

車を走らせると、春はリンゴ畑の白い花を見つけ、夏はスイカが畑に転がるのを横目に(スイカもリンゴも、子房が成熟した果実という共通点があります。詳しくは別の記事で)、徐々に大きく赤くなっていくリンゴ。

西洋から信州への長い旅

薪ストーブでクッキング
薪ストーブで「リンゴ包みポークソテー」を調理中。

善悪の知識の果実から、白雪姫の毒リンゴ、iPhoneもまたイメージを上書きしていきますが、象徴化されるのはリンゴの形質の強さであり、それはヒトがいてもいなくても、変わらないものなのでしょう。

長く、遠い旅を経て、リンゴは信州の秋を実らせています。

植物名リンゴ
漢字名林檎
別名セイヨウリンゴ(西洋林檎)
学名Malus pumila
英名Apple
科名・属名バラ科リンゴ属
原産地中央アジア付近
花期4〜5月
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4件のコメント

こんにちは!このリンゴの話のところを読んでいて、私の中のリンゴの思い出がいろいろと思い出されて懐かしくなりました。小学生の時に修学旅行で(小諸でした!)赤いリンゴがたっくさん実ってるのを見てあまりのかわいさと赤いリンゴが青空に映えて感激したこと。子どものお腹がすくとしょっちゅう、リンゴを丸かじりして食べていたこと。高校生のとき、調理実習で焼きリンゴを作り、初めて果物に火を入れる…ということが衝撃だった!けれど、あまりの美味しさにほっぺたが落ちるとはこのこと!と体験したこと。若い頃働いていたときインターナショナルの子どもと交流することがあってその子どもたちのお弁当がパンとチーズとバナナ…もしくはリンゴの超シンプルランチボックスで、日本の子どもたちのお弁当が素晴らしく見えたこと。我が家は子どもたちが小さい頃は大好きだったおやつに、リンゴとさつまいもをバターで炒めて砂糖をまぶした超簡単おやつをよく作ったなぁ…などなど。そう言えば、具合が悪いときにリンゴをすったものもよく作っていたな…と、あっこれは料理のうちに入らないですね(笑)こう考えるとリンゴって凄いですね!おやつにもおしゃれなデザートにもそして、料理のソースやお肉と一緒にメイン料理にもなるのですから。それに、花も実も紅葉も…一年中楽しめますね!それにしてもしょじよしさんの奥様はお料理上手なのですね!リンゴ包みポークソテーやリンゴのピザ、めちゃくちゃおいしそー!我が家の今日の夕飯は、もちろん薪ストーブはないので、ポークソテーリンゴのソースかけにしようかな?言い方がおしゃれだな(笑)去年覚えたタルトタタンも作りたいし、小さなアップルパイも…リンゴっていろんな料理を作りたくなります!ちなみに我が家はリンゴの皮はむかず1~2㎝の輪切りで食べます!今日も長くなってしまいました。すみません~
ヽ(;▽;)ノ

>さきこさん
こんにちは!
リンゴのたくさんの思い出や感想を、ありがとうございます!
僕も、子供の頃は風邪をひいたりすると、母親がリンゴジュースを作ってくれたのをよく覚えていますね。
植物としてのリンゴの木を、あまり意識はしていなかったですが、
信州で生活していると、身近にある樹木なので、興味が湧いて来ます。
さきこさんも、リンゴ料理をいろいろと作られるのですね!
さきこさんの植物のへの想いと合わせて、きっと料理も美味しく、ご家族も嬉しいだろうと想像しますd(^_^o)
ポークソテーリンゴのソースかけも、良いですね!
妻は、料理上手かどうかはわかりませんが、さきこさんにそう言っていただけると喜ぶと思います!
冬のリンゴ料理、我が家も今年もいろいろと挑戦しようと思います。
いつもコメントありがとうございます!

 こんばんは!日本の林檎は見た目よし!味よし!形よし!いくら出しても手に入れたい!と言うほど外国人は高級な扱いをすると言う話を聞いたコトがあります。私達は子供の頃から手に入れやすく身近な果物だっただけに、そんな話を聞くと日本の技術力の高さを改めて感じます。今更ながら林檎を見る目も変わる単純な私…
 昔話ですが、私の大叔母の旦那が朝鮮総督府(現在のソウル)勤務時代に現地より毎年、林檎(一般には朝鮮リンゴと呼んでいた)を送ってくれていたそうです。形は小さいが味は濃厚で美味しかったそうです。そんな話も聞くと、もっと林檎のコトを知りたくなります

>tokikoさん
返信が遅くなってスイマセン!
コメントありがとうございます! 海外でも日本のリンゴは人気のようですね。
ご親戚が朝鮮総督府勤務だったとはまた、スゴイですね! 
朝鮮リンゴというのは知らなかったですが、とても興味深いです!
まだまだ未見の知らないリンゴの世界があるのですねd(^_^o)
とても勉強になるコメント、ありがとうございました!

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しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。