信州、松本盆地はスイカの名産地でもあります。
車を走らせると「スイカ直売」の看板や、のぼり旗がたくさん目に入ります。
広大な駐車場がほぼ満車、大混雑している直売所もあって、夏の松本の風景です。
この記事では、スイカという植物について、松本の風景と共に紹介します。
スイカという植物について(名産地・松本にて)
神戸から松本に引っ越して、季節の移り変わりを、果物や野菜で知る機会が増えました。
神戸でも(他の都市でも)、お店に行けば旬のものは並んでいます。
しかし、すぐ近くに畑があって、新芽や花、だんだんと大きくなっていく果実を横眼に生活している環境とはやはり違います。
スイカだけでなく、トウモロコシやトマト、アスパラガスなど、畑の植物の生長と、売場に並ぶ農産物がしっかりと繋がっている実感があります。
中でも、夏のスイカの季節感、存在感は特に大きなものです。
直売所の混雑は夏の間ずっと続き、夏が終われば来シーズンまでひっそりです。
スイカはアフリカ原産、砂漠の植物
植物としてのスイカは、アフリカ原産とされます。
4000年前のエジプトで既に栽培の記録があるようなので、ヒトとの付き合いはかなり古いと言えます。
砂漠のような環境で、水分補給の為に重宝されていたようですが、その形質はスイカの戦略でもあります。
スイカの種子は、胃や腸でも消化されないように、硬いガラス質で覆われている。もちろん、複雑に入り組んだ腸も難なくすり抜けるような形になっているのだ。
『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』稲垣栄洋(著), 西本眞理子(イラスト)
(中略)
スイカの種子はゆっくり時間をかけて胃腸を通り、できるだけ排出されないようにしているという。そうすることで、少しでも遠くまで運ばれようとしているのである。
江戸時代には普及していたスイカ
アフリカ生まれのスイカはその後、ギリシャ、中央アジアにも拡がり、中国を経て日本に入ってきます。
正確な時期は判明していませんが、『農業全書』(1697年)の記述から、江戸時代にはある程度普及していたようです。
ヒトによって広まったスイカの旅
様々な品種改良を経ながら、これほどまで日本の夏の風物詩として定着したのは、よほどスイカが求める条件と、日本人の嗜好が合致したのでしょう。
砂漠で獲得した形質は、種子による鳥や動物の無意識の散布ではなく、ヒトの栽培によって極東にまで旅して、分布を拡げています。
小さくなっていくスイカ
都市部でも、スーパーマーケットに行けば、入口付近の目立つ場所にスイカが並べてあります。
産地と違うのは、カット売りが主流という事でしょう。
丸ごと1個も売られていますが「特別なもの」という印象です。
核家族化や、選べる果物(競合)の増加、冷蔵庫に入らない、など理由は様々ですが、大きい事が良しとされなくなって尚、スイカの旅は続いています。
松本の夏、スイカの夏
背が高いトウモロコシ畑、まだ青いリンゴの側を車で通過していくと、スイカの直売所の賑わいが目に入ります。
4分の1、8分の1、スティック売り。
小さくなっていくスーパーマーケットのスイカから遠く、信州の産地では、丸いスイカがまだ主役です。
植物名 | スイカ |
漢字名 | 西瓜 |
別名 | |
学名 | Citrullus lanatus |
英名 | Watermelon |
科名・属名 | ウリ科スイカ属 |
原産地 | アフリカ中部もしくは南部 |
花期 | 6~7月 |
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