食べるアブラナ科(アブラナ科の野菜)

かき菜のおひたし
かき菜のおひたし。ホウレン草や小松菜と同じような調理法で食べます。

妻の実家から送られてきた「かき菜」がアブラナ科の野菜だと聞いて、ふと思いました。

「アブラナ科の野菜、なんて多彩なんだろう」。

多彩なアブラナ科の野菜たち

北関東の伝統野菜、かき菜
かき菜は北関東の伝統野菜でアブラナ科の野菜。菜花(なばな)の一種で、旬は3月~4月、春の味覚です。

キャベツ、白菜、ブロッコリー、大根、ワサビ、マスタード(アブラナ科植物の種)、などなど。

アブラナ科の野菜一覧

・キャベツ
・白菜
・ブロッコリー
・カリフラワー
・ロマネスコ
・水菜
・小松菜
・チンゲン菜
・ナバナ(菜の花)
※かき菜はナバナの在来種の一つ
・大根
・カブ
・クレソン
・ワサビ

全てアブラナ科で同じ仲間、食卓からは想像しにくいほどに姿や使われ方が違っています。

食用部分は、根、茎、葉、種、と様々で、サラダや漬物、油、香辛料としても使われます。

紀元前から続くアブラナ科の品種改良

キャベツ畑のキャベツ
キャベツはヨーロッパ原産、和名では球菜(たまな)や、甘藍(かんらん)。

これほど僕たちの食事に深く関わるまでには、品種改良の長い歴史があります。

例えばキャベツは野生種のケールが祖先でヨーロッパ原産。

古代ギリシャ、ローマでは既に薬草としてキャベツが認知されていて、紀元前160年の『農業論』(カト・ケンソリウス)にキャベツの消化促進作用が記されています。

その後、本格的に結球したものが登場するのは12~13世紀、改良の末に現在のようなキャベツになったとされます。

ケールを改良して作られた野菜としては他にブロッコリーやカリフラワーがあります。

茎ブロッコリー
こちらは茎ブロッコリー。花の蕾を食用に改良されたがブロッコリーやカリフラワーです。

カブはヨーロッパ及び中央アジア原産で、中国に伝わってからチンゲン菜や白菜、日本では小松菜や水菜が生まれました。

ちなみに白菜が中国から日本に伝わったのは明治時代で、広まったのは大正時代になってからです。

「緑の革命」以降の急激な変化

ロマネスコ
カリフラワーの一種、ロマネスコ。日本での名前は、イタリア語の「broccolo romanesco(ブロッコロ・ロマネスコ)」=「ローマのブロッコリー」から。

長い時間をかけてゆっくりと進んできた品種改良ですが、20世紀以降に状況は大きく変わってきています。

人口の増加、技術革新による農業や自然環境の変化。

食用植物についても、機械化や農薬、化学肥料によって収穫量が飛躍的に増えました(緑の革命)。

現代社会はこれらの革新によって成り立っているし、今後の更なる人口増加、食料不足の懸念、資源保全への影響を考える時、あらゆる手段を講じる必要があります。

クレソン
オオバタネツケバナ。(同じアブラナ科の)クレソンのような辛味成分を味わえます。

なので、遺伝子組み換えであっても可能性の一つとして必要です。

しかし、あまりにも急激な変化によって、遺伝的多様性が失われたり、一部のバイオ企業による寡占が拡がるのは気がかりです。

品種改良に繋がる、普段の選択

菜の花
アブラナ(油菜)やカラシナ(芥子菜)など、アブラナ科アブラナ属の花は総称して菜の花と呼ばれ、どれも4枚の花弁の十字花です。

その為に、僕たちが出来る事、するべき事はたくさんあります。

スーパーマーケットでの買物もそうです。

食品の「遺伝子組み換えでない」表示。

これはあくまでも現状の食品表示法に則っての表示であって例外も多くあり、菜種油や大豆油といった食用油については表示義務がありません。

「何故!?」と思うし、勘繰りたくもなりますが、僕たち(社会)の消費行動や政治参加(投票)、様々な選択の結果とも言えます。

変わらない、4枚の花弁の特徴

ワサビの花
ワサビ。オリエンタルハーブ、Wasabiとして今では世界的に食用される日本原産の植物。こちらもアブラナ科ならではの十字花を咲かせます。

日々、口にする植物を選ぶ事も投票であり、やがて品種を作ります。

かき菜もキャベツもブロッコリーも、食卓での姿かたちは違えど、そのまま育てると4枚の花弁が十字状に咲く花を咲かせます(アブラナ科は以前は十字花科と呼ばれていました)。

数千年をかけて品種改良されてきて尚、変わらない形質と僕たちの食事は共にあります。

巡る季節と、育てた人の顔が見える野菜が美味しいと感じる感性もまた、遺伝的多様性を保つ重要な要素、投票に繋がるのは間違いありません。

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しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。