知り合いの畑で、カボチャやズッキーニを観察したのは夏の暑い日でした。
早いもので、もう10月の下旬。
買物に出かけると、ほんの少し前まで山積みだったズッキーニの売場は小さくなり、代わってハロウィンの売場は最盛期です。
ズッキーニとカボチャ、ウリ科カボチャ属の野菜について
近年のハロウィンは仮装イベントとして盛り上がっていますが、考えてみれば山積みのズッキーニというのも、まだ新しい光景です。
増えるズッキーニ、変わるカボチャの内訳
ズッキーニの日本国内の収穫量はこの20年で4倍以上に増えていて、シェアは長野県が全国1位です(30%以上)。
カボチャはどうかというと、この20年で出荷量はほぼ横這い。
シェアは北海道が圧倒的に多いです(50%以上)。
※いずれの数値も農林水産省のデータから。
「日本かぼちゃ」が伝来したのは室町時代
カボチャが日本に伝わったのは室町時代、鉄砲やキリスト教と同時期にポルトガル船から伝来したとされますが、このカボチャは今でいう「日本かぼちゃ」。
その後、明治時代にアメリカから伝わったのが「西洋かぼちゃ」で、北海道産のカボチャも含め、現在のカボチャの主流です。
現在流通しているカボチャは、これらに「ペポかぼちゃ」(ズッキーニ等を含む品種群)を加えた3つに大別されます。
ズッキーニの伝来は1980年頃
ズッキーニはもっと新しいですね。
日本に入ってきたのは1980年頃だそうで、なるほど前述の「20年で4倍以上」という急速な普及を実感します。
ほんの少し昔までキュウリと似ている野菜、なんていうイメージもありました。
関西では「南京」、カボチャの呼び方いろいろ
大阪に住んでいた子どもの頃、近所の八百屋で「カボチャちゃう、ナンキンやで」と言われた記憶があります。
あの時のカボチャはたぶん日本かぼちゃだったと思うのですが、昔のカボチャのイメージは外側のくぼみが深くて、明らかに西洋かぼちゃとは違っていました。
ズッキーニは「つるなしカボチャ」という呼び名も
名前にも、それぞれの時代が現れます。
南瓜という名前の由来は「南蛮渡来の瓜」で、カボチャはカンボジア経由で入ってきた事から「カボチャ瓜」が元々の呼び方だったようです。
ズッキーニはイタリア語の「zucca=カボチャ」から「小さいカボチャ」の意味で「zucchini」(ズッキーニ)。
日本語では「つるなしカボチャ」という呼び方もあって、畑の姿を見ると納得です。
日本のカボチャは英語でsquash(スクウォッシュ)
ちなみに「パンプキン」はアメリカやイギリスではハロウィンに使われるようなオレンジ色のカボチャの事を指し、日本で言う「カボチャ」の訳語としては、squash(スクウォッシュ)が適当のようです。
ウリ科カボチャ属の総称としてスクウォッシュという呼び方があり、様々なスクウォッシュ(カボチャ)があります。
ペポカボチャもズッキーニも「サマー・スクウォッシュ」
アメリカでは、ペポかぼちゃの事をまとめて、summer squashと呼び、ズッキーニもサマー・スクウォッシュの一種。
例えば最近スーパーマーケットでも見かける、バターナッツ・カボチャはバターナッツ・スクウォッシュ。
南瓜、南京というような呼び方は廃れていって、今後出てくる名前は外来語そのまま、が増えるのでしょう。
変わるもの、変わらないもの
ともあれ、食欲の秋、ハロウィンの秋です。
カボチャの畑は荒涼としていて、蔓がすごい勢いで広がっていた夏が嘘のようです。
巡る季節の積み重ねによって、ほんの数か月前、数年前の事でさえ、はるか遠い昔に思えたり忘れてしまったりします。
ハロウィンの秋、「ホクホク」「ホッコリ」の秋
時代とともに、求められるカボチャは(その名前も)変わっていきます。
変わらないものがあるとすれば、加熱した時の「ホクホク」や「ホッコリ」でしょうか。
これから先10年とか20年、50年先も、僕たちはウリ科カボチャ属の野菜にホクホク、ホッコリさせられているに違いありません。
植物名 | カボチャ |
漢字名 | 南瓜 |
別名 | ナンキン(南京)、トウナス(唐茄子) |
学名 | Cucurbita maxima |
英名 | Squash |
科名・属名 | ウリ科カボチャ属 |
原産地 | 中央アメリカ |
花期 | 6~8月 |
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