「秋の七草」は花を観賞し、「春の七草」は味覚で。
日本ならではの季節の過ごし方です。
春の七草と七草粥
信州の山奥のようなところに暮らしていると、春のありがたみが増して、美味しさとか美しさが際立つ気がします。
春の七草の種類と覚え方
さて、春の七草粥です。
早春の7種の草をお粥に炊き込んで、一年の無病息災を祈願するという風習ですが、お正月の三が日、食べ過ぎ・飲みすぎ(かどうかはわかりませんが)で疲れた胃腸を、あっさりしたお粥で落ち着かせるという、理にかなった考えでもあります。
7種の草、覚え方は5・7・5・7・7のリズムで、短歌のようにして覚える方法が有名です。
何度か繰り返すと、自然に覚えてしまうから不思議です。
植物学的には違う呼び方が5種
この七草はしかし、植物学的には(正式名称)、呼び方が違うものが多いので(7種のうち5種)、ややこしいです。
せり(芹)→セリ(同じ)
なずな(薺)→ナズナ(同じ)
おぎょう(御形)→ハハコグサ
はこべら(繁縷)→ハコベ
ほとけのざ(仏の座)→タビラコ
すずな(菘)→カブ
すずしろ(蘿蔔)→ダイコン
特にややこしいのは「ほとけのざ」でしょうか。
春の七草ではキク科のタビラコの事をホトケノザと呼んでいますが、シソ科の1年草でホトケノザ(こちらは正式名称)という植物もあります。
すずな、すずしろ、というのもカブやダイコンという名称があまりにも一般的なので、混乱しそうです。
7種のうち5種は雑草
七草のうち、5種は田畑や空地に普通に生える、いわば雑草です。
例えばハコベは小鳥の緑餌に古くから使われきましたが、『柳宗民の雑草ノオト』では、柳さんがパリに出かけた時、シテ島の花市で、同じように小鳥のエサとしてハコベの束が山積みになっているのを見た、というエピソードが紹介されています。
それくらい、世界各地で普通に生えているようですね。スーパーマーケットの「春の七草」パック詰めでも、ハコベが大量に詰められていている印象です。
そんな雑草たち5種に、カブとダイコンという、冬野菜の代表格2種類を加えたのが春の七草ですが、上記『柳宗民の雑草ノオト』を読むと、よく見かける植物の楽しみ方や視点が広がり、オススメです。
春の七草の季節はいつ?(野で摘む春の草はこれから)
春の七草、スーパーマーケットのパック詰めの販売は1月6日までだと思いますが、本来は旧暦の節句である七草粥。
新暦では2月辺りに行われていた行事なので、年始に七草というのは時期がちょっと早いと言えます。
1月7日に間に合わなかったとしても、今から外に出かけて、探してみるのも良いかもしれません。
せりなずな
おぎょうはこべら
ほとけのざ
すずなすずしろ
春の七草