オミナエシと秋の七草、絶滅危惧種

オミナエシ。
秋の七草の一つ、オミナエシ。

オミナエシの黄色い花を見ると、信州の高原の、短い夏の終わりを意識します。秋の七草の一つですが、地域によっては準絶滅危惧種(生育条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種)に指定されています。

この記事では、そんなオミナエシと秋の七草について書いています。

秋の七草の覚え方「お好きな服は」

道路脇で目立つオミナエシの花
植えられている事も多い、オミナエシの花。

春の七草のように七草粥で食べたりせず、野の花として観賞する植物達なので、あまり身近ではなくなってきている気がします。そこで、語呂合わせで覚える方法の一つが「お好きな服は」。

秋の七草の覚え方
お(オミナエシ : 女郎花*)
す(ススキ : 薄)
き(キキョウ : 桔梗*)
な(ナデシコ : 撫子*)
ふ(フジバカマ : 藤袴*)
く(クズ : 葛)
は(ハギ : 萩)

桔梗も絶滅危惧種(!?)

キキョウ
江戸時代にはたくさんの園芸種があったキキョウ。

しかし、こうして見ると、7つのうち後ろに*マークを付けた4つの植物は地域によっては絶滅危惧種もしくは準絶滅危惧種に指定されています。
オミナエシやキキョウなんて、頻繁に見かけるので意外な気もしますが、よく考えると多くが庭や植栽であって、自生は少ない事に気づきます。

カワラナデシコ
カワラナデシコ、別名ナデシコ、大和撫子(やまとなでしこ)。

外来種の増加、植生の変化

秋の七草だけでなく、山の中で生活している者の実感として、やはり植生は大きく変化しています。観察していて、目につくのは多くが外来種。僕が生活する信州の山奥、奈川という地区は標高1000m~1500mの山間部です。1998に発行された『奈川村の植物』(奥原弘人著)という本の内容と現状を比較すると、この20年だけでも植生が変化している事がわかります。こうした山奥に外来種が溢れているという事は、全国的にはもっと酷い状況でしょう。

秋の七草については、前述の4種を除くとススキとハギ、クズに関しては、今のところよく見かけます。逆にクズは旺盛な繁殖力のせいで駆除されたりしています。侵略的外来種として海外でも問題になっているほどです。

ヤマハギ
ヤマハギ。こちらは林縁でよくみかける花です。
葛(クズ)の花
葛(クズ)の花。こちらは逆に、海外では侵略的外来種として駆除対象だったりします。

気温の急激な上昇

外来種ともう一つ、植生の変化に影響を与えているという実感があるのは気候の変化です。奈川には野麦峠スキー場というスキー場がありますが、約30年前、12月上旬には営業を開始していました。今、12月下旬にやっとオープンできるかどうか、というくらい積雪期が短くなっています。最低気温はマイナス20℃になる事が度々あった30年前、今ではマイナス15℃程度です。夏場の最高気温は昔、28℃で「今日は暑いな~!」と言っていたのが、今では30℃も珍しくありません。夏が長くなった影響で、虫が出る時期が分散して、印象としては虫が少なくなりました。3000m級の高山に行くと、短い夏に集中してアブが大量に発生したりしますが、この辺りは昔、それと似た状況だったのが、今では「普通」になってきています。

ススキの花
ススキの花。花弁がないので目立たないですが、よく見ると赤っぽい色の花を見つけられます。
フジバカマ
フジバカマ。派手さはないけど、素朴で日本の風景に合う花だと思います。

これからもオミナエシは女郎花か

オミナエシの花
オミナエシ。漢字は女郎花、万葉集の時代から親しまれてきましたが、こちらも自生地は減少しています。

これからの20年、30年を想像すると、目の前に咲いている花を眺める、この時間の大切さを感じます。オミナエシが庭先に咲いているのを見て、いいなあと思う感覚は、やはり日本人です。牧野富太郎博士は『植物一日一題』の中で「日本の草や木の名は一切カナで書けばそれでなんら差し支えなく、今日ではそうすることがかえって合理的」と書いていますが、女郎花。この花は漢字もしっくり来る気がします。

女郎花から次々に咲いていく秋の花を楽しみに、冬支度を。植生の変化と共に、僕たちの文化的アイデンティティもまた変わっていくのかも知れません。
第6の絶滅期と言われる現代、こうした記事も作っていこうと思います。

植物名 オミナエシ
漢字名 女郎花
別名 粟花(アワバナ)、思い草(オモイグサ)など
学名 Patrinia scabiosaefolia
英名 なし
科名・属名 オミナエシ科オミナエシ属
原産地 日本、東アジア
花期 8~10月
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ABOUT US

神戸出身、2016年から信州在住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。2019年~イタリア・トリノの自転車ブランド・3Tアンバサダー。