クリスマスのヤドリギやモミの木、6つの聖なる植物の旅

クリスマスにはヤドリギを吊るす風習があります
クリスマスにはヤドリギを吊るす風習があります。

クリスマスと言えば、どんな植物を思い浮かべますか?

おそらく、モミの木と答える人は多いでしょう。

その次にくるのは、ヒイラギやポインセチア、クリスマスローズなどでしょうか。

そんな中、欧米ではクリスマスの植物として、ヤドリギがかなり上位に来ます。

今回は、そんなクリスマスの聖なる植物について、記事にしてみます。

欧米のクリスマスの定番・ヤドリギ(その意味は?)

伐倒したシラカバに宿っていたヤドリギ
伐倒したシラカバに宿っていたヤドリギ。

欧米では、クリスマスにヤドリギを吊るす風習があります。

なぜ、ヤドリギなのか?

その意味の元となっている伝説(物語)を、『クリスマス・ウォッチング』という本から少し引用します。

かつてやどり木は巨大なもので、これを切り倒してキリストの十字架をこしらえた。キリストが十字架で息絶えるとやどり木はどれもいたく恥じ入り、小さく縮こまって、他の木々に宿を借りて生きながらえる身に甘んじることとなった。

『クリスマス・ウォッチング』「なぜやどり木を吊るすのか?」より

クリスマスにおけるヤドリギの起源には諸説あり

ヤドリギの花言葉は「困難に打ち克つ」「克服」「忍耐」
古代ケルトの時代から、神聖な植物とされてきたヤドリギ。

『クリスマス・ウォッチング』の著者、デズモンド・モリスは上記の伝説(イエス・キリストを讃える為のヤドリギ)の起源について、いくつかの説を紹介しています。

短くまとめると、下記となります。

古代ケルト族のヤドリギ信仰

古代ケルト族にとってヤドリギは神聖な植物で、特にオークの木に宿ったヤドリギは珍しく、この二大聖木が一緒に発見された時は、特別な祭儀が行われたそうです。

そうして、採取したヤドリギの枝は各家庭に持ち帰られ、枝を一本吊るしておくと、悪魔の祟りを防ぐ事に威力を発揮した、と。

そんなヤドリギ信仰とキリスト教が結びついた、という説ですね。

冬場に緑色を保っている植物ならなんでも良かった

もう一つ、とてもシンプルな説です。

ヒイラギやツタ(アイビー)、月桂樹などとならんで冬に緑色を保っている植物であれば、家の飾りつけには何でも良かった、と。

キリスト誕生のはるか以前から、木々の精霊が憩える場所を作る為、家々にはさまざまな植物が飾られていたそうで、当時は木の種類についてはヤドリギであれ、ヒイラギであれ何でも良かった、と書かれている文献もあるそうです。

※クリスマスにおけるヤドリギについては、映画に登場するヤドリギついての記事も作成しました。

花芽が付いたヤドリギ

クリスマスツリー(モミの木)の起源はドイツ

雪の中のモミの木
雪の中のモミの木。

クリスマスツリーは元々、ドイツの樹木信仰から来ています。

1200年前のドイツでは、オークの木が崇められていました。

キリスト教の伝道師たちは、このドイツの人々をキリスト教に改宗させる為に、オークをモミの木に置き換える事で、樹木信仰をキリスト教化させようとしました。

モミの木が選ばれた理由は、横から見ると三角形に見え、この三角形は三位一体を表している(神と子と精霊)、とキリスト教伝道師たちは説明したそうです。

クリスマスツリーが広まったのは19世紀末

クリスマス・スワッグ
ウラジロモミを使ってクリスマス・スワッグ作り。

その後、ドイツの風習だったクリスマスツリーが他の地域に広まったのは、19世紀末。

木を崇める、という考え方はキリスト教にはなかなか受け入れられず、広まるには時間がかかったようです。

モミの木の新芽

ヒイラギで表す、キリストのイバラの冠と血

セイヨウヒイラギの葉と赤い実
セイヨウヒイラギの葉と赤い実。

セイヨウヒイラギもまた、クリスマスを代表する植物の一つでしょう。

キリスト教以前から祭りに使われていたようですが「葉はキリストがかぶった冠のイバラを表し、赤い実はキリストの血を表す」とされます。

ちなみに、日本の植栽でよくみかけるヒイラギと、クリスマスのセイヨウヒイラギ(西洋ヒイラギ)は別種です。

セイヨウヒイラギは赤い実をつけますが、日本のヒイラギの実は黒か濃い灰色です。

ポインセチアの名前の由来は「ポインセット」さん

ポインセチア
ポインセチア。

お花屋さんに行くと、ずらっと並んでいるポインセチア。

こちらも「クリスマスと言えば」という植物ですよね。

ポインセチアは中央アメリカで自生している植物ですが、世界に広まったきっかけは1825年、アメリカのジョエル・ポインセットという外交官がメキシコ公使になった事からです。

ポインセットは植物研究者でもあり、1828年にポインセチアの存在を知って魅了され、アメリカに帰国後、この植物を広めたそうです。

よって、名前はポインセットにちなんでポインセチアになった、との事です。

キリスト降誕に供えられたクリスマス・ローズ

クリスマス・ローズ
クリスマス・ローズの花。

クリスマスの頃に咲くローズ(薔薇)、という名前のクリスマス・ローズ(キンポウゲ科ですが)。

前述の『クリスマス・ウォッチング』によると、こんな伝説があるそうです。

※要約します。

ベツレヘムに、幼い羊飼いの少女がいました。少女は、キリストの誕生(降誕)を祝うために飼い葉桶のところに向かいますが、贈り物を持っていませんでした。他の羊飼いたちは皆、贈り物を持っているというのに。。。少女が泣いていると突然、光が射して白い花の群れを照らしました。少女はこの花を摘んで飼い葉桶のかたわらに供えました。

『クリスマス・ウォッチング』「クリスマス・ローズとはなにか?」より※要約

この花がクリスマス・ローズ、なんですね。

日本では、クリスマス・ローズというと、いろんな種類を指す場合も多いですが、ヨーロッパではヘレボルス属原種の1種類ニゲル(h.niger)を指すようで、このキリストの降誕伝説と合わさると、イメージが膨らみます。

クリスマス・キャロルで歌われるツタ(アイビー)

アイビー(セイヨウキヅタ)
アイビー(セイヨウキヅタ)。

クリスマス・キャロル(聖歌)に、「The Holly and the Ivy(ヒイラギとツタ)」というのがあります。

※下記、YouTubeにアップされている「The Holly and the Ivy」の動画です。

Ivy(アイビー)は単にツタと訳される事が多いですが、具体的にはセイヨウキヅタの事です。

まとめ(個人的な感想とか)

『クリスマス・ウォッチング』
『クリスマス・ウォッチング』は残念ながら現在、中古でしか手に入りませんが、楽しい本です。

クリスマスならでは、という植物はたくさんありますが、今回紹介した6つの植物については特に有名ですよね。

共通点として多いのは「常緑」や「赤色」など、いくつかありますが、多くの植物が元々はキリスト教とは無関係だったり、古代ヨーロッパの樹木信仰をキリスト教が取り込んできた、という経緯があります。

ヤドリギにしろ、モミの木にしろ、ヒトを惹きつけてきた植物たちの影響、その歴史と言い換える事もできるかもしれません。

いずれにせよ、クリスマスを彩る植物たちの旅というのも、なかなか面白いです。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

(少し早いですが)あなたにとって、素晴らしいクリスマスになりますよう!

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