信州に移住してから覚えたキノコはいくつもありますが、ハナイグチは我々夫婦にとって、最も身近なキノコです。
何故なら、ハナイグチはカラマツ林に生える事(我々はカラマツ林に住んでいます)、そして見分け方が簡単で、初心者向けのキノコだからです。
今回はそんなハナイグチについて、紹介したいと思います。
ハナイグチとは
ハナイグチとは、ヌメリイグチ科ヌメリイグチ属のキノコです。
かさの色は赤褐色からオレンジ色で、その裏側(管孔・かんこう)は黄色のスポンジ状です。
名前の由来
漢字では「花猪口」。
「イグチ(猪口)」は猪の鼻先(口)に見立てた名前で、花が咲き乱れるようにたくさん発生するイグチ、というのが名前の由来と言われています。
長野県での呼び名はジコボウやリコボウ
ちなみに、長野県(信州)では、ハナイグチという呼び名よりも、ジコボウ、もしくはリコボウという俗称の方が一般的です。
ジコボウ(ジコ坊)は『もののけ姫』に登場
ちょっと話しは逸れますが、『もののけ姫』に登場するキャラクター「ジコ坊」は、このキノコから名付けられたようです。
ハナイグチの時期
ハナイグチの採取時期は秋です。
虫が少なくなり、樹々が紅葉し始める頃、ハナイグチを見つけられます。
ハナイグチの見分け方
ハナイグチは見分け方が簡単なキノコの一つです。
前述の通り、かさの裏側の「黄色のスポンジ状」が特徴的で、他のキノコは裏側がヒダ状になっているものが多いです。
似ているキノコ
見分けやすいとは言え、似ているキノコもあります。
同じヌメリイグチ科の仲間で、ヌメリイグチやチチアワタケなどは似ていますが、どちらも食用にされます。
似ている毒キノコがない=ハナイグチは比較的安全
似ている毒キノコはないので、これがハナイグチ=キノコ採り・初心者向け、と言われる所以でもあります。
※カラマツ林で見つけられるキノコについて、下記記事を以前に作っています。
栽培は?
ちなみに、ハナイグチは松茸などと同じように、栽培はできません(研究は進んでいますが)。
「菌根性きのこ」という、樹木の根と共生関係を持つキノコなので、シイタケなどのように人工栽培はできないんですね。
※下記、長野県庁のサイトの記事では、そんな研究について書かれています。
菌根性きのこ( ホンシメジ・ ハナイグチ)の林地での増殖技術
ハナイグチの食べ方
我が家は、敷地内のカラマツ林を歩いてハナイグチを見つけると、鍋にする事が多いです。
以降、食べ方を簡単に。
下処理
まず、採取したハナイグチを洗います。
ぬめりがあり、カラマツの葉や土がたくさん付いているので、流水で洗い流して、石づきを取り除きます。
その後、塩水に浸けて、しばらく置きます(虫出し)。
塩水に浸ける
濡れたハナイグチは表面がピカピカで、とても美味しそうに見えます。
下茹で
浸けおいたハナイグチを沸騰したお湯で数分、茹でたら準備完了です。
ハナイグチの鍋、完成
我が家の場合、ハナイグチは鍋にする事が多いですが、他に味噌汁や、茹でて大根おろし、など、いろんな食べ方があります。
世界中のカラマツ林にいる、ハナイグチの仲間
ハナイグチは、英語では「larch bolete(ラーチ・ボリート)」、意味は「カラマツのイグチ」です。
前述の「菌根性きのこ」であるハナイグチは、カラマツと共生しますが、それは世界中どこでも同じなんですね。
和食だけではない、ハナイグチの食べ方
Googleで「larch bolete recipes」と検索すると、シチューやスープに入れたり、といったレシピが見つかります。
ハナイグチとカラマツの旅
いつか、我々夫婦もどこか海外のカラマツ林に行ったら、と想像します。
ハナイグチの鍋や味噌汁の味は、海外の人たちにはどうでしょうか。
この秋は「larch bolete recipes」にも挑戦してみようと思います。
これもまた、カラマツ林の旅の一部なのかも、などと想像しながら山暮らしの秋は深まります。
植物名 | ハナイグチ |
漢字名 | 花猪口 |
別名 | ジコボウ、リコボウ、ラクヨウなど |
学名 | Suillus grevillei |
英名 | Larch bolete |
科名・属名 | ヌメリイグチ科ヌメリイグチ属 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国など |
花期 | ー |
【追記】カラマツ林でもよく見かける毒キノコ、ドクベニタケなどを紹介する記事を作成しました(下記↓)
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