夏が終わり、草花の勢いが弱まってくると、チゴユリの実をちらほらと見つけられます。
チゴユリは背が低いので、春の花の時季を過ぎると目立たず、夏の間は他の植物に隠れていて、秋になると再び顔を出すように感じるのです。
この記事ではチゴユリについて、信州の山間部・カラマツ林で見つけられる他の花や実と共に紹介します。
チゴユリの実の季節
実ができる前、最初は緑色のマッチ棒のようです。
だんだんと大きくなり、丸くなった実を見つけるのは9月頃です。
実際には8月には実ができていますが、他の草花に隠れて、目につきにくいんですよね。
チゴユリの黄葉
チゴユリは秋になると、葉が黄葉します。
この頃になると、他の多くの植物の葉は落葉していて、森が明るくなります。
なので、チゴユリの黄葉した葉は一層、明るい色に見えます。
チゴユリの花期(花言葉は「恥ずかしがり屋」)
冬を越して、春がくるとチゴユリの花の季節です。
樹々が芽吹きだした頃、4~5月(信州の山間部では5月)、比較的早い時季に開花します。
茎の先に1個か2個、白い小さな花(2~3㎝)が下向きに咲きます。
花言葉は「恥ずかしがり屋」だそうで、なるほど下を向いている花は照れているのか、シャイで控えめな印象です。
同じ時季の花
チゴユリの花が咲いている同じ時季、同じ場所でよく見られる花としては、マイヅルソウ、アマドコロなどがあります。
(マイヅルソウの記事でも書いたのですが)チゴユリ、マイヅルソウ、アマドコロのどれもが冬に実を見かけると「何の実だろう?」と気になる存在です。
名前の由来は「稚児のように小さい」ユリ
漢字では「稚児ユリ」。
花が稚児のように小さいユリ、という名前です。
ユリだと思ってみると、本当に小さくて、ウサギくらいの動物にとってはちょうど良い大きさのユリかな? と感じます。
チゴユリの仲間とチゴユリ属
同じチゴユリ属の植物としては、ホウチャクソウ、ホウチャクチゴユリ(チゴユリとホウチャクソウの雑種)、大型のオオチゴユリ(高さ40~70㎝)などがあります。
ちなみに、チゴユリは以前はユリ科でしたが、最新の分類ではイヌサフラン科チゴユリ属です(イヌサフラン科がユリ科から分割されました)。
一瞬で過ぎる、山の春と夏
チゴユリの花期が終わると、信州の山間部はハルゼミが鳴きだします。
背が小さいチゴユリは他の草花に圧倒されるようになり、その陰に隠れて夏が過ぎます。
チゴユリと山暮らしの四季
やがて実を付けたチゴユリを見つけて、春と夏を振り返ります。
雪の中で過ごす、冬の準備期間に比べると花の季節はなんと短く、活動的なのでしょうね。
そんな風に、四季に思いを巡らす秋です。
しんとした森の中、聞こえるのは落ち葉を踏む自分の足音と、写真を撮るパシャリというシャッター音。
下から覗き込むようにして花を撮っていた事や、ハルゼミの鳴き声を、秋の実は思い出させてくれます。
植物名 | チゴユリ |
漢字名 | 稚児百合 |
別名 | |
学名 | Disporum smilacinum |
英名 | なし |
科名・属名 | イヌサフラン科チゴユリ属 ※旧分類ではユリ科 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国 |
花期 | 4~5月 |
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