秋の七草、現代の信州で選ぶとしたら

ワレモコウとススキ、黄葉したカラマツ林
ワレモコウとススキ、黄葉したカラマツ林。

秋を感じさせる花として「秋の七草」がありますが、万葉集の時代とは植生も季節も変わってきています。

現代ならではの、人それぞれの「秋の七草」があるのではないか。

そう思って、信州の山間部(我が家の周り)で見られる「秋の七草」について、考えてみました。

結論から言うと、僕なりの「秋の七草」は下記の「目次」にある通りです.

「秋の七草」現代の信州編

ススキの穂が目立つ季節です
ススキの見頃は、実際には中秋の名月を過ぎてからですね。

ススキ以外はオリジナルの「秋の七草」とは違うものを選びました。

ちなみに、下記が本来の秋の七草です。

(本来の)秋の七草

・オミナエシ
・ススキ
・キキョウ
・ナデシコ
・フジバカマ
・クズ
・ハギ

以降、一つひとつ紹介しながら、選んだ理由を今(2020年)の記録として、書いておこうと思います。

ノコンギク

ノコンギク
ノコンギクの花。

まず、ノコンギク。秋の野菊の代表ですね。

キク科の植物はたくさんありますが、薄紫色のノコンギクの花を見ると、秋を実感します。比較的、背が高くて目立つのもポイントです。

ちなみに、キク科の同定は難しくて、信州の山間部(奥地)といえど、外来種・園芸種も多いです。

いがりまさしさんの『日本の野菊』によると、薄紫色の野菊には基本となる3種(ノコンギク、ヨメナ、ヤマジノギク)があります。

ノコンギクの同定については、いがりまさしさんの『日本の野菊』、オススメです。
※現在入手可能なのはkindle(キンドル)版(電子版)だけです。

アキノキリンソウ

アキノキリンソウ
アキノキリンソウ。

アキノキリンソウの名前は「秋に咲く麒麟草」。

花が少なくなってくる秋、存在感がある黄色です。

花と葉を摘んで、ハーブティーにもできます(『アキノキリンソウのお茶』)。

アキノキリンソウのお茶を淹れてみました

あと、アキノキリンソウやノゲシ、コウゾリナなどのキク科の綿毛も、秋らしい風景だと思います。

ツリガネニンジン

ツリガネニンジン
ツリガネニンジン。

桔梗(キキョウ)と同じキキョウ科のツリガネニンジン。

秋の七草の一つ、キキョウはほぼ植栽でしか見かけませんが、ツリガネニンジンは道路脇にもよく見かけます。

ベル型の花は、何か安心するような雰囲気を持っていますね。

ワレモコウ

ワレモコウ
ワレモコウ。

ワレモコウは、花が終わって萼(ガク)が残った姿もまた、花のような存在として道路脇を飾ってくれます。

我が家の周辺地区では草刈りの時も、ワレモコウが敢えて残してあったりするのですが、それには理由があります。

ワレモコウのつぼみだけに産卵する、ゴマシジミという蝶がいて、そのゴマシジミは絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)なのです。

そんなこんなで、ワレモコウは道路脇で強く秋を感じさせてくれる植物です。

マツムシソウ

マツムシソウ
マツムシソウ。

昔、夏のスキー場に群生していた記憶がありますが、今はチラホラ程度のマツムシソウです。

名前の由来は松虫(スズムシ)の鳴く頃に咲く、とかいくつか説があるようです。

確かに、そんな季節に咲くんですよね。

サラシナショウマ

サラシナショウマ
サラシナショウマ。白い穂状の花が群生していて、目立ちます。

サラシナショウマは、キンポウゲ科の多年草で、秋の上高地でもよく見かける花です。

大型の穂状の花が特に目立つんですよね。

蕾や実の状態も良いです。

ススキ

ススキの綿毛
ススキの穂。

ここで初めて本来の「秋の七草」と同じ、ススキ。

万葉集の時代から、現代まで引き続き「秋のイメージ」があるススキは稀有な存在でもあります。

都市部では減少している「ススキの草原」ですが、信州の山間部ではまだ普通に見られて、秋の風物詩と言えると思います。

麓や都市部、他の地域では?

紅葉したコキア(ほうき草)。

もし、もっと麓とか都市部に住んでいたとしたら、ヒガンバナ、キンモクセイ、シュウメイギク、ガウラなんかも入るのかも知れません。

パンパスグラスとか、コキアなんかもあり得るでしょうか。

万葉集の「秋の七草」に選ばれている植物は現代では植栽でしか見かけないものも多く、そして季節的には夏から咲いているものが多いですよね。

コスモスも実際には夏から咲いていますが、それでもやはり花期が長く、秋のイメージはありますね。

あなたにとっての秋の七草は?

いろんな人に聞いてみたいです。

オミナエシ。
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2件のコメント

奈川では、他でも同じかも知れませんが、畑の周りの雑草を刈る時、ワレモコウだけは残します。ゴマシジミの保護のためです。

Katsu様
コメントありがとうございます!
ワレモコウは、そうですね!
ゴマシジミの生態も不思議で、
植物との関係性の面白さを教えてくれる存在でもありますね(^。^)

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しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。