春には鮮やかな新緑が芽吹き、秋には黄金色の黄葉が山いっぱいに拡がるカラマツ林。
四季を通して美しいこれらのほとんどが人工林だと知った時は驚きました。
この記事では、カラマツの特徴やカラマツ林の歴史について、カラマツ林の四季の写真と共に紹介します。
信州のカラマツ林はほとんどが人工林
信州では、目にするほとんどがカラマツ林の山も多く、これだけ広大な面積に植林をしたという事と、現在は放置されてしまっているという状況。
そしてカラマツだけでなく、スギも同様な状態であり、日本全国のこうした人工林が大きな問題になっている。。。
僕にとってカラマツ林は、植物や森の事をもっと知りたいと思ったきっかけ、スタート地点だと思っています。
カラマツという植物
植物としてのカラマツはマツ科カラマツ属に含まれ、ヨーロッパやシベリア、北米にも分布し、北半球の寒冷地に多く自生する針葉樹です。
日本のカラマツは元々、富士山麓などに自生していたと言われます。
国内のものとしては唯一落葉する針葉樹であり、日当たりの良い場所に生えます。
スキー場などの開けた土地には実生の(植林ではない)カラマツを見る事もありますが、普通に見かけるカラマツは前述のように、そのほとんどが植林された人工林です。
植林の始まり~カラマツ林の放置へ
植林が始まったのは明治時代から(スギやヒノキに比べると歴史は短いと言えます)。
急激に面積が拡大したのは戦後の拡大造林からで、寒冷地の痩せた土地でも育ち、成長が早い事から北海道や長野県ではカラマツが選ばれました。
当初、旺盛な経済復興によって炭鉱や木杭に大きな需要を見込んで大量のカラマツが植林されたものの、その後のエネルギーや素材の転換(木杭からコンクリートへと代わったり)、状況の変化によって放置されるようになります。
植林地の地元の評判も良くありませんでした。
「節が多くて見た目が悪い」
「ヤニが多い」
「すぐに燃えてしまうので薪にも不向き」。。。
そんな声を聞いて、僕の印象も「役に立たない木」という風になっていきました。
実用的に用途が広がり始めた近年の状況
不遇なカラマツではありますが、良くなってきている状況もあります。
技術的な進歩によって、合板材にして割れやすい性質を克服した木材が使われるようになっていたり、新国立競技場にカラマツの集成材が使用されたり、用途が広がってきているのです。
カラマツ林で暮らしてみて
僕の見方も変わってきました。
「節が多い、柔らかい」という特徴は味が出て愛着が持てるし、カラマツ林ならではの植生もあります。
カラマツ林ならでのキノコ採りなんていう楽しみもあります。
※『カラマツ林のキノコたち【ハナイグチやクリタケ、食した記録】』という記事を作っています。
薪として使う場合も、きちんと乾燥させれば広葉樹と同じように(性質は違いますが)良い薪になると感じています。
四季を通して撮りたくなるカラマツ林
そして何より、信州で生活しているとカラマツ林の美しさに魅了されます。
新緑や黄葉はもちろん、冬に落葉してシルエットだけになった姿は、夕陽や雪景色を引き立ててくれます。
北原白秋の『落葉松』という詩がありますが、創作意欲が湧いてくる、そんな樹種なんだと思います。
カラマツ林の未来を願って
50年後か100年後か、いつか各地のカラマツ林が適正に間伐されて、有効に利用されている光景を想像します。
その時、日本の林業、日本の森は世界に誇れる資源となっているはずです。
そんな風に願いながら、今後も信州のカラマツ林からこのブログ・sambucaで記事を作っていこうと思います。
植物名 | カラマツ |
漢字名 | 唐松 |
別名 | ラクヨウショウ(落葉松)、フジマツ(富士松) |
学名 | Larix kaempferi |
英名 | Japanese larch |
科名・属名 | マツ科カラマツ属 |
原産地 | 日本 |
花期 | 5月 |
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