藤森照信さんの建築を知ったのは「ラ コリーナ近江八幡」でした。
その後、多治見のモザイクタイルミュージアムにも行って、興味が増していたところ、茅野市の「フジモリ建築見学会」の存在を知りました。
普段は公開されていない建物の中を特別に見学でき、更には藤森さんご本人が解説してくださる、というスペシャルなイベントです。
藤森照信さんの建築見学会@茅野に行ってきました
募集開始の当日、時間きっちりに電話し、無事申込完了して一安心(すぐに満席になるはずなので)、心待ちにして出かけた「フジモリ建築見学会」。
今回はそんなレポートとなります。
茅野市神長官守矢史料館
見学当日の11月23日。
諏訪大社の上社の近く、茅野市の藤森建築群に到着し、最初に見学したのは神長官守矢史料館。元々、建築史家である藤森照信さんにとって、建築家として最初の作品だそうです。
こちらの建物は普段から一般公開されていて、入場料(大人100円)を支払って中に入る事ができます。
藤森さんの解説によると、使われている建材は屋根は鉄平石(てっぺいせき)という上諏訪産の石、外壁はサワラの割り板、軒に突き出た柱の樹種はイチイだそう。
それぞれの地域の素材を生かす、藤森建築ならではですね。
中に入ると鹿や猪の剥製が並んでいます。
「御頭祭」(おんとうさい)と呼ばれる、神事の復元展示だそうです。
神長官守矢史料館の後は、A班からG班までに分けれれたグループごとに3つの茶室を見学します。
高過庵、低過庵、空飛ぶ泥舟という3つの茶室をどの順番に回るかは、分単位でスケジュールが決まっています。
外からはいつでも見学できますが、茶室の中にまで入るのはこの日の特別イベントです。
高過庵
我々A班のスケジュールは、まず14:15~14:27は高過庵。
クリの木の上に設置されていてツリーハウスのようですが、藤森さんいわく「ツリーハウスには興味がない」との事。
確かに、あくまでも建材としてクリの木を使っているのであって、生えている木に作るツリーハウスとは違うのですね。
いずれにしても、2本の木の上に建物が乗っている様子はインパクトがあります。
順番に梯子を上って、中に入ります。
入ると、部屋が揺れています。。。
ちょっと怖い。。。
でも大丈夫、クリの木の根本はコンクリートで補強されていたり、藤森さんいわく「あと50年くらいは大丈夫」だそう。
柱であるクリの木の一部が見えるようになっていたり、窓からは周辺の街並みが一望できたり、揺れに慣れるとワクワクしてきます。
空飛ぶ泥舟
高過庵の次は、空飛ぶ泥舟。
こちらもインパクト大です。
ワイヤーで吊り下げられていて、高過庵よりは安心できそうな(!?)見た目ではあります。
こちらも、梯子を上って中に入ります。
3つの茶室のうち、唯一この茶室にはテーブルが設置されています。
床も丸い(フラットではない)ので、そうなるのですね。
低過庵
最後は低過庵。
これまでの2つと違って、こちらは低く作られた(名前の通り)建物。
中に入るのは、小さな階段を這うようにして、穴に潜っていくような感覚です。
入ると、藤森さんが座っています。
ロウソクの灯りだけの暗い部屋の藤森さんは修験者のようでもあり、時代小説に出てくる剣豪のようでもあります。
藤森さんと至近距離(そして少人数)なので、質問をさせて頂く貴重な時間ではあるのですが、黙っていた方が良いような気がして、しばし沈黙の時間が流れます。。。
すると、藤森さんが話しだしてくれました。
「上から声が聞こえるのは不思議な感覚でしょう?」
なるほど、天井に開いた穴からは外にいる人たちの話し声が聞こえてきます。
普段、こうした感覚を味わう事はありません。
閉じ込められたような、別世界に転落(!?)してしまったかのような。。。
しばらくして突然、明るくなりました。
藤森さんが屋根を開けてくれたのです!
「おーっ!」と歓声を上げる我々見学者たち。
茶室の主である藤森さんはそんな反応を見て楽しそうだし、地下空間から青空の下へと様変わりした茶室は、会話のトーンも変わります。
見学会を終えて
自然を生かした建築。
藤森建築の特徴だと思うのですが、それは最新の技術と合わさった、自然×人工とか、古代×現代とか「自然だけではない」建築だから面白いのだなあ、と感じました。
諏訪という歴史や縄文文化など、時間を遡る事によって知る価値があります。
それをどのように伝えるか、藤森照信さんの建築には学びがたくさんありますね。
自然を生かす、というのは楽しい事の追求でもあるようです。
神長官守矢史料館(&藤森照信さん設計の建築群)
〒391-0013 茅野市宮川389-1
茅野市の「神長官守矢史料館」紹介ページ
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