「溺れる者は藁をもつかむ」は英語から派生した諺のようです。
「わらしべ長者」は日本のおとぎ話ですが、世界各地で似たような物語が存在するみたいです。
この記事では、年末年始ならではの藁(イネ科の植物)の使われ方について、信州の風習と共に紹介します。
衣食住に活用されてきた日本の藁
藁(わら)とは、イネ科植物の茎を乾燥させた物です。
稲であれ小麦であれ、藁は生活の中で幅広く活用されてきて、ずっと身近なものだったんですよね。
特に日本の藁の活用のされ方は多様です。
『日常生活からひもとく信州』から少し引用します。
「冬のわら仕事」
『日常生活からひもとく信州』長野県立歴史館(編集)
稲作農家では、主に冬の仕事として自宅でわらを使った生活用品を作っていました。作業で使う縄、米や炭を入れる俵、農作物を入れる叺(かます)、敷物などとして使った筵(むしろ)、雨合羽として使う蓑(みの)、脛を保護するための脛巾(はばき)、運搬用の背当て、雪除けの蓑帽子などです。もちろん、わらの履き物も自給自足です。
信州だけでなく、全国どこでも同じように藁を活用していたのでしょうが、現代ではそうではありません。
どちらかというと特別な存在になってきていて「わらしべ長者」は成立しなくなっていますよね。
稲刈りと注連飾り作りの秋
そんな中、注連飾りに関わる行事は貴重な機会かもしれません。
昨年(2019年)の秋は、四賀地区に何度も行きました。
稲刈りをして(『四賀で稲刈り体験』)、注連飾り作りにも参加させてもらいました。
注連飾り作りでは「縄をなう」体験も。
コツを覚えると楽しい作業で、何本も作ってみたくなりました。
神社でお祓いをしてもらった時、宮司さんからお話しがありました。
注連飾りを外した後、そのまま捨てる人がいるけどそれはダメだと。
「塩を振りかけてからゴミに出してください」との事。
三九郎(どんと焼き)の冬
そんなこんなで、四賀で作った注連飾りは年末年始の我が家を飾った後、先日「三九郎」へ(全国的には「どんと焼き」という呼び名が多いです)。
アカマツやモミノキの枝葉で作られたやぐらは一見クリスマスツリーのようですが、ダルマや縄がアクセントになっていて、やはり和風というか日本の行事の雰囲気です。
火の粉を見上げて次の季節へ
夜、ごうごうと燃える炎はすごい迫力で、火の粉は真っ暗な夜空にはるか高く舞い上がります。
ヒンヤリした空気の中、火の粉を見上げたこの時間、ずっと忘れずに記憶に残りそうです。
藁をバイオエタノールに変換する技術も進んでいて、将来的にはかつてのように藁の有効利用が進むかもしれません。
そうした技術革新には、伝統に触れる事もベースになり得るのでしょうね。
稲刈りから始まり、注連飾り作り、三九郎まで。
「冬のわら仕事」はしないけど、昔に思いをはせる季節です。
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