まだ他の草花が目立たない早春、公園や空き地の日当たりの良い場所で見つけられるのが、ホトケノザとヒメオドリコソウの花です。
どちらもシソ科オドリコソウ属の植物で、似た特徴を持っている上に、同じ時季、同じような場所に咲きます。
この記事では、そんなホトケノザとヒメオドリコソウの違いや名前の由来など、春の七草のホトケノザ(タビラコ)などと共に紹介します。
原産は海外(帰化植物)
ヒメオドリコソウはヨーロッパ原産、明治時代に日本に入ってきた帰化植物ですが、今では名前の元となったオドリコソウ(後述します)よりもヒメオドリコソウの方が身近な植物です。
ホトケノザは、ユーラシアとアフリカ大陸に広く分布し、日本には有史以前に帰化したとされています。
ホトケノザとヒメオドリコソウの違い
ホトケノザとヒメオドリコソウの最も分かりやすい違いは、花の付き方です。
ホトケノザの花は葉の上に飛び出すように咲きますが、ヒメオドリコソウの花は葉の横に、少し隠れるような感じで咲きます。
他、葉の形や付き方にも違いがあります。
ホトケノザの葉の形は扇形の円形(丸に近い)です。
※名前の由来は「仏の座=葉の形が仏像の蓮座に似ている」。
それに対して、ヒメオドリコソウのは葉は三角形に近い卵形です。
また、上下の葉の付き方は、ホトケノザが葉と葉の間が空いているのに対して、ヒメオドリコソウの葉は折り重なるように付いています。
まとめると、違いのポイントは下記のようになります。
「春の七草」のホトケノザはキク科のタビラコの事
植物的な形質が似ている、この2つの植物以外に、名前の付け方が紛らわしいのが春の七草のホトケノザです。
以前の記事『春の七草粥』でも少し書いたのですが、春の七草でのホトケノザはキク科のコオニタビラコを指しているとされます。
牧野富太郎博士によって、その説が一般的になったのですが、牧野富太郎博士は『植物記』の中で、(シソ科の方の)ホトケノザを食べてみれば、春の七草ではない事が解る、と述べています。
食べても美味しくないホトケノザ
『植物記』の「ホトケノザ」の一部を抜粋します。
今日世人が呼ぶ唇形科のホトケノザを試に煮て食って見たまえ。ウマク無い者の代表者は正にこの草であるという事が分る。
『植物記』牧野富太郎
(中略)
こんな不味い者を好んで食わなくても外に幾らでも味の佳(よ)い野草がそこらにザラに在るでは無いか。
そんなに不味いのか。。。気になりますね(笑)。
ちなみにこの『植物記』、kindle(キンドル)だと無料で読めます。
大きなオドリコソウ(ヒメオドリコソウの名前の由来)
ホトケノザとヒメオドリコソウが属する「オドリコソウ属」は、元々日本に自生しているオドリコソウの名前です。
オドリコソウは高さ40㎝くらい、と大きく「ヒメオドリコソウ」はその姫サイズ、という名付けです。
ホトケノザもオドリコソウも踊る春
元のオドリコソウの名前の由来はと言うと、花が「笠をかぶった踊り子の姿に似ている」というもので、雰囲気がありますよね。
ホトケノザは「仏の座」。
でも、仲間だけあって、ホトケノザも踊り子のように見えます。
現代では、誰かに説明するには「踊り子」の方が理解してもらいやすいでしょうか。
踊る花、花踊る春。
花の季節の到来でウキウキワクワクするのは、きっと世界共通でしょう。
公園や空き地で見つける、踊る春です。
植物名 | ホトケノザ |
漢字名 | 仏の座 |
別名 | サンカイグサ(三階草)、ホトケノツヅレ(仏の綴)など |
学名 | Lamium amplexicaule |
英名 | Henbit |
科名・属名 | シソ科オドリコソウ属 |
原産地 | ユーラシア大陸 |
花期 | 3~5月 |
・花の付き方
・葉の形
・葉の上下の付き方