森の中で、数十年、数百年と生きてきた樹木が家具や家になり、僕たちの生活の中で、新しく生まれ変わったように存在する。
つまり“樹は二度生きる”。
『樹と暮らす(家具と森林生態)』の「あとがき」で使われている言葉です。
『樹と暮らす(家具と森林生態)』の企画の楽しさ
清和さんによる植物としての樹木の紹介と、有賀さんによる材(材木)としての樹木の紹介を見開きでセットにして、植物画と写真入りで展開していくページは企画としてとても面白く、読み応えがあります。
「樹」と「材」、交互に語られる植物の姿
例えば、ハンノキの章。
清和さんの「樹」のパート。
川に種子トラップを置いて、上流からどれくらいの量の樹木のタネが流されてくるのか実験したそうです。
すると、風散布や鳥散布とされている樹種のタネが大量に流されてきました。
ハンノキなどの水辺の樹々は、川の流れも種子散布に利用している事が書かれています。
有賀さんの「材」のパートでは、ハンノキがやわらかく、カンナ仕上がりが良い事や、北海道の林業関係者が「へー、ハンノキも使えるんだ」と驚いた事が紹介されています。
森での姿と、家具や建具になってからの姿。
二人の視点によって、いろんな角度で読み進める66種類の樹木。
どこからでも、好きな樹木から読めるし、途中のコラムも勉強になります。
「役立たずの木を残す」と題したコラムによると、世界の林業の現場では、クマやキツツキなどの為に、枯れ木を一定の割合で残すという管理が求められるようになっているそうです(日本の一般的な林業現場よりもかなり進んでいます)。
全ての樹種の価値を高める為に
日本の森について考える時、課題は山積していますが、まずは植物や自然の楽しさや豊かさを伝える事は本当に重要だろうし、そういう意味でも、この本のアプローチは良いですね。
表紙には、キリの花も。
桐と言えば「桐の箪笥(タンス)」。
しかし、重宝されていたのは昔の話しで、現在の生産量はピーク時の2%しかないそうです。
「なぜ、現代人は自然から、木から、遠ざかるのだろう。」
それぞれの表現の元になっているのは、植物への深い愛情なのだと思います。
有賀さんのコメントも引用しておこうと思います。
よく、好きな木は何ですか?と聞かれますが、みんな好きです。特に好きな木は、人や職人に見捨てられた木です。例えば材木市場で「ザツ」とか「ソノタ」という札を下げて売られている木です。(中略)こういう木ほど個性豊かで、表情がいいので好きです。
『樹と暮らす(家具と森林生態)』清和 研二, 有賀 恵一※有賀さんの「あとがき」より
樹の手触りを確かめたくなる本
僕が暮らす信州の山奥の家は木造で、家具も多くが木製です。
築30年以上ですが、全く古さを感じないし、かえって味が出て(エイジング)、愛着が湧くのが木の家の良さだと思います。
家具もそうです。
使い込むほどに、いい色になって、生活に馴染んできます。
『樹と暮らす』を読むと、改めて壁や家具に触れてみたくなります。
築地書館の他の本もオススメ
この本を出版している、築地書館は他にも『ドイツ林業と日本の森林』という本も出していたり、日本の森や林業に携わる人、植物に興味がある人には魅力的な本がたくさんあります。
そして、試し読みができるページもあるので、ぜひぜひご覧ください!
※下記は築地書館の『樹と暮らす』のページへのリンクです。
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1535-1.html
こんにちは!いつもしょじよしさんが、igで、いいねしてくださるとブログ更新かな?と思いのぞかせていただいてます(笑)毎回楽しいo(^o^)oこの本、さっそく読みたいと思います。興味津々!!
>さきこさん
こんにちは!ig、まとめてチェックしたり作業しているので、そうですね(^。^)
この本、ホントにオススメです!
イラストが美しいし、図鑑的な使い方もできます(^。^)