上高地に関する本はたくさんあります。
そんな中から「るるぶ」や「まっぷる」よりも詳しく、読み物としても楽しめるような、そしてハイキング情報や植物についても知りたい。
そんな人にオススメの本を紹介します。
基本となるような3冊と、そして上高地や信州の植物については“外せない”と個人的に考える本と出版社についても触れます。
『上高地ハイキング案内』
2019年に出版された『上高地ハイキング案内』。
この本の良さは網羅性と情報の新しさだと思います。
タイトル通り“上高地ハイキング”を楽しむ為の情報がバランスよく掲載されています。
コース案内といった基本的な事から、植物や野鳥、上高地の歴史まで幅広く網羅されています。
巻末には服装や携行品、アクセスまで掲載されていて、初めて上高地に行く人から、涸沢への登山に初挑戦したい人まで、この1冊で幅広くカバーできそうです。
個人的には「山賊焼きめぐり」「スイーツ/お土産/食べ歩き」といったグルメのページも好きですね。
『名作で楽しむ上高地』、山と渓谷社の本
たくさんの文人を魅了してきた上高地。
そんな小説やエッセイの一部を抜粋して1冊にしてくれているのが『名作で楽しむ上高地』です。
少し抜粋、紹介します。
触れれば切れそうに冷たい水だ。底の底まで透きとおった水には、色がない。あれば、山の上に拡がる、飽くまで青い空の色を映しているに過ぎない。しかし、流れの底に、きらりと翻る光は、空のものではない。梓川の流れが、岸にたたずむ自分の魂を打つのは、この水を走る光のためだ。
『名作で楽しむ上高地』「第1部エッセーで味わう上高地」から※『たった一人の山』浦松佐美太郎
『名作で楽しむ上高地』も『上高地ハイキング案内』も、山と渓谷社の本です。
やはり山岳関連はヤマケイですね。
キラリと光ります。
ちなみに、上高地に関する小説で最も有名なものとしては井上靖の『氷壁』でしょう。
『上高地ハイキング案内』内の徳沢のページでも、少し紹介されています。
『上高地の花 ハンドブック』、ほおずき書籍の本
上高地の植物に特化した本としては『上高地の花 ハンドブック』。
上高地の売店などでも販売されていて、手に入りやすいです。
「ニリンソウの花、咲き乱れる頃(5月中旬~6月上旬)」など、季節ごとに目立つ花と、その時期に見られる花がわかりやすく紹介されています。
「花図鑑」の前には「樹木図鑑」も掲載されていて、イチイやチョウセンゴヨウ、カラマツなど50種近い樹木が紹介されています。
この「ほおずき書籍」も信州の出版社としてオススメです。
他に『上高地の野鳥』などもあります。
『上高地の植物』
上高地の植物や自然ついて、さらに深く学びたいという人には『上高地の植物』。
残念ながら絶版で、現在は中古でしか手に入りませんがオススメです。
「地質と植生」の章では、穂高連峰から霞沢岳は穂高安山岩類と呼ばれる古第三紀の安山岩質溶結凝灰岩で、いっぽう焼岳は角閃石安山岩を主とする焼岳火山類からなっている、という説明があります。
そこから地形は変遷し、(人間による開発も含めて)現在の植生に至るまで、大局的な植物の見方が本の前半部分で解説され、後半は四季の植物の名前と解説です(微視的な見方)。
昭和60(1985)年発行、と古い本ですが、自然や植物についての基本的な学びに関しては今でも(これからも)変わりないです。
当時と比較すると大正池の風景が変わってきていたり、という変化はありますが、そんな成因と変遷も知る事で、植物の理解も深まりますね。
信濃毎日新聞社の本
『上高地の植物』は信濃毎日新聞社の本です。
信州の植物の本としては、信濃毎日新聞社の本も外せません。
他の出版社にはないような本をたくさん作ってくれていて、尊敬します。
まとめ
山渓の『上高地ハイキング案内』は幅広い層にオススメできる本です。
文学を手軽に楽しみたい本として『名作で楽しむ上高地』、植物については『上高地の花 ハンドブック』。
この3冊だけでも上高地にかなり詳しくなれると思います。
これを入口に、より深い山へと入っていけそうです。
また、このブログsambuca(サンブーカ)でも、上高地のハイキング記事をいくつか作っています。
時代と共に、お店や交通情報も変わり、本が絶版になったりします。
文学にも流行があります。
このsambucaも少しでも上高地や信州、植物の現在を切り取る事ができればと思います。
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