牧野富太郎の本【牧野節を味わうオススメ随筆3冊】

牧野富太郎の本(牧野節を味わうオススメ随筆3冊)
たくさん刊行されている、牧野富太郎の随筆集。

牧野富太郎の本、たくさんありますね。

随筆なんかは「青空文庫」になっているので、独自に編集されてたくさんの本が存在する、という訳です。

今年(2023年)のNHK朝ドラ『らんまん』で牧野富太郎博士が取り上げられる(主人公・槙野万太郎(まきの・まんたろう)のモデル)、という事で、その作品について紹介します。

今回は特に、“牧野節”とも言われる、独特な文章を読める、随筆・エッセイをまとめた3冊をピックアップします。

牧野富太郎と言えば「図鑑」と「随筆」

『なぜ花は匂うか』kindle版
こちらはkindle(キンドル)版の『なぜ花は匂うか』。

牧野富太郎博士と言えば「牧野日本植物図鑑」が有名ですが、随筆も面白いです。

図鑑ではうかがい知れないような、当時の(時代の)空気や、牧野博士の感性のようなものを、味わえます。

『植物一日一題』

『植物一日一題』(ちくま学芸文庫)牧野富太郎
ちくま学芸文庫の『植物一日一題』。
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『植物一日一題』は、昭和21年(1946年)8月17日から、牧野富太郎博士が毎日一題ずつ、100題を書き溜めた随筆集です。

刊行されたのは牧野博士が90歳の時、という事で集大成的な一冊です。

牧野博士の随筆は、日本の植物名として使われた「漢名の間違いの指摘」が多いのですが、その一例を。

ジャガイモは断じて馬鈴薯そのものではないことは最も明白かつ確乎たる事実である。こんな間違った名を日常平気で使っているのはおろかな話で、これこそ日本文化の恥辱でなくてなんであろう。

『植物一日一題』「馬鈴薯とジャガイモ」

そして、牧野博士は自分のアピールもします。

馬鈴薯はけっしてジャガタライモでないぞと今日大声で疾呼し喝破したのは私であった

『植物一日一題』「馬鈴薯とジャガイモ」

現代では「馬鈴薯」という呼び名は使いませんが、江戸時代に小野蘭山(おのらんざん)が「ジャガイモを馬鈴薯である」と言い始め、その後「馬鈴薯」が定着してしまうまで、その経緯が書かれています。

ここで牧野博士に批判される人達もけっこういて、ちょっと気の毒だなぁと思ったりはするものの、読み物として楽しめます。

『植物一日一題』の挿絵(ジャガイモ)
「馬鈴薯とジャガイモ」の挿絵。

ちなみに『植物一日一題』の学芸文庫版は、巻末に索引があります(下記は一例)。

植物名索引
アオツヅラフジ 276-277→ツヅラフジ
アオノクマタケラン 245
アカザ 27-28
人名索引
青木昆陽(文蔵・1698-1769) 59
朝比奈泰彦(1881-1975) 287

kindle(キンドル)では『植物一日一題』は青空文庫で無料で読めますが、上記の索引はありません。

※下記記事でも『植物一日一題』を紹介しています

『植物一日一題』(kindle版)

MUJI BOOKS『牧野富太郎』

MUJI BOOKS『牧野富太郎』
MUJI BOOKS『牧野富太郎』。

「MUJI BOOKS」(無印良品)からも、『牧野富太郎』が刊行されています。

こちら、冒頭に「くらしの形見」として、牧野博士の帽子や眼鏡、胴乱(どうらん)等のカラー写真が掲載されていたり(下記)、

左は牧野博士の胴乱、右は帽子(MUJI BOOKS『牧野富太郎』)
左は牧野博士の胴乱、右は帽子(MUJI BOOKS『牧野富太郎』)。

代表的な随筆作品がコンパクトにまとめられていて、オススメです。

しかも550円(税込)。

ここでは、MUJI BOOKSの紹介文を、引用します。

作家も詩人も映画監督も
ひとりの生活者である
という視点から
愛用品やくらしの風景とともに
随筆や図像作品を
1人1冊仕立てで編集する
文庫本シリーズです。

※MUJI BOOKSの紹介文

「まさに!」と、上記コンセプトに納得できる、MUJI BOOKSの『牧野富太郎』です。

>MUJI BOOKS公式サイト

『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』

牧野富太郎 なぜ花は匂うか(STANDARD BOOKS)
紙版の『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』。
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『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』は、装丁が美しく、文字も読みやすいので、プレゼントにも良さそうです(紙版)。

「イチョウの精虫」という作品は、上記『植物一日一題』にも収録されていたり、「なぜ花は匂うか」はMUJI BOOKSにも収録されています。

そんな感じで、有名な作品がピックアップされています。

巻末には「もっと牧野富太郎を知りたい人のためのブックガイド」があって、『植物一日一題』など、全6冊が紹介されています。

つまり「牧野富太郎・入門」というような位置づけの本です。

牧野富太郎の好きな「火山」

『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』の巻末には、牧野富太郎博士の経歴が紹介されていて(生まれや学歴、結婚など)、「すきなこと・すきなもの」という項目も。

牧野富太郎博士の好きなこと・好きなもの

音楽、歌謡、絵画、火山、牛肉のすき焼き、トマト、コーヒー

音楽、歌謡、絵画、と来て、

火山!?

と思ったのは僕だけでしょうか。

「火山が好き」という事が解る作品を最後に少し引用します。

私はこの富士山がどうか大爆発をやってくれないかと期待している次第だ。
(中略)
もし夜中に遠近からこれを望めば、その山全体に流れる熔岩のため闇に紅の富士山を浮き立たせ、たちまち壮絶の奇景を現出するのであろう。
そこが見ものだ、それが見たいのだ。

『牧野富太郎 なぜ花は匂うか』「漫談・火山を割く」

富士山の大爆発。。。妄想のスケールが大きいですね。。。

麓の住民へ迷惑をかけない程度に、という但し書きがあるものの、表現としての時代の大らかさも感じます。

まとめ:「牧野節」の楽しみ

MUJI BOOKS『牧野富太郎』の「くらしの形見」
MUJI BOOKS『牧野富太郎』の「くらしの形見」のページ(右)。

1500種類以上の植物の名前を付けた事など、牧野富太郎という人の業績は凄まじいものがありますが、今回紹介したような随筆(エッセイ)の「牧野節」にも、独特な魅力があります。

破天荒な生き方で知られる牧野博士の感覚や発想が見えたり、戦後の空気感を感じたり、文学作品としても、長く読み継がれていくのでしょう。

朝ドラ『らんまん』では、どんな風に描かれるのでしょうね。

人びとは、道ばたの草や野原の草をつまらぬ雑草といって見向きもしないけれども、雑草といえどもこれを知ればおもしろく感ずるようになります。

MUJI BOOKS『牧野富太郎』「雑草を知る楽しさ」

ドラマがきっかけで、こうしたメッセージが届くことを願っている、かも知れません。

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しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。