『日本林業を立て直す』、速水林業の400年の森(大田賀山林へ見学に)

『日本林業を立て直す』を持って、速水林業の森へ
『日本林業を立て直す』を持って、速水林業の森へ撮影に。

「山に入る」とは言いますが、「森に入る」という言い方はあまりしません。

『日本林業を立て直す』を読むと、こうした日本人の森林観について、なるほどと思う事がたくさんあって、それは速水さんが世界各地の森や林業を見てきたからこそ気づくのだろうと思います。

※この記事を作成するにあたり、三重県の大田賀山林へ見学に行ってきました。

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伝統的で先進的な速水林業

速水亨さんと、速水林業について、先にポイントをまとめておきます。

速水亨さん&速水林業とは?

●国内有数の林業地、尾鷲にあるのが速水林業
●速水亨さんは江戸時代から続く速水林業の9代目
●世界各地の森を視察し、アドバイスもする権威
●日本で初めてFSCの森林認証を取得

そんな速水さんの言葉にはやはり重みがあって、引用したいところがあり過ぎて、引用していくと、記事のほとんどが引用になってしまいそうなのですが(笑)、1か所だけ、引用します。

「400年の森づくりに挑む」
今、私が挑戦しているのは400年の木を育てることである。

(中略)
300年生や400年生の木ができれば、例えば、法隆寺を補修する時に使ってもらえるかもしれない。こういうことを考えると楽しくなる。
しかし、もっと楽しいのは、(中略)正常な林業として循環し始めたら、日本人が森になんともいえない愛情というか、うれしい気持ちを抱いてくれるのではないか・・・。

『日本林業を立て直す 速水林業の挑戦』速水亨

世界の森、日本の森

大田賀山林へ見学に

速水林業の森、大田賀山林にやってきました(愛車・FIAT500Xと共に)
速水林業の森、大田賀山林にやってきました。

“日本人が森に対して嬉しい気持ちを抱く”という言葉には、冒頭の「森に入る」とは言わない、一般的な日本人の森林観が400年も経てば、変わるかもしれない、という速水さんの想いが込められていると思います。

ドイツのシュバルツバルトでは、「森を歩くために森を歩く人々」がたくさんいるそうです。

特に目的もなく、森を歩くという、日本とは違う状況がある、と。

日本の場合、登山で山頂まで行く過程で森を通過する事はあっても、ただ森を歩くという人は少ない、と速水さんは言います。

ドイツだけでなく、ヨーロッパ全体で「森を歩くために森を歩く人々」の割合はかなり多いそうです

速水林業の森の入口にて
速水林業の森の入口にて。車の駐車スペースに到着して、従業員の方に声をかけると、森の見学コースについて詳しく説明してくれました。

山に入る、森に入る

日本の場合、「山に入る」というのは、薪や炭、木の実やキノコの採集が目的か、もしくは修行のようなイメージがあります。

登山というスポーツも元は西洋から入ってきたもので、歴史が浅いという事もあるし、里山が利用されなくなった現在、山に入る事も、森に入る事も、身近ではないかもしれません

速水林業の森
空が開けて明るい、速水林業の森。

しかし、そんな中でも速水林業のような取り組みもあるわけで、現在は放置林になってしまっているスギやカラマツの林が、将来は豊かな森になっている可能性もあります。

速水林業の森
速水林業の森は一般に開放されていて、年間4000人以上もの人が見学に来るそうです。

400年先も残る仕事とは?

シダの芽吹き
シダの芽吹き。速水林業の森を訪れたこの日は4月上旬、いろんなところで春を感じられました。

今回の記事の写真は、尾鷲の速水林業の森に見学に行って撮影したものなのですが、通常の「人工林」と比べるととても明るく、変化があって「森を歩く」楽しみがあります。

歩きながら、400年後を想像してみます。

あまりにも遠すぎてイメージが難しいです。

カメラという道具はなくなっているかも知れないし、少なくとも、こうしてブログで記事にするなんて習慣は存在していないだろう、宇宙ステーションに木材が使われているかも?

などなど

クスノキの芽吹き
こちらはクスノキ。常緑樹ですが、春に葉を入れ替えます。新しい葉は透き通るような色が美しいです。

できることから始めよう

FSCのロゴマーク
FSCのロゴマーク。2000年2月、日本で初めて速水林業の森がFSC認証を取得したそうです。

「誰が森を壊しているのか」の章では、FSC認証を取得した時の様子も紹介されていて、大量の書類を英語で作らなければいけなかったそうです。

そんな苦労を知ると、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、コピー用紙を買う時も、FSCマークが付いたものを選んだり、何でもできることからがんばろう、とも思えます。

FSCマークがついた木材サンプル(マルホンのショールームにて)

最後にもう一つ。

海外の林業の現場と比較して「日本の山は急傾斜だから難しい」という意見を聞くことがありますが、速水林業のスタッフが海外研修に行ったところ、「オーストリアのほうがもっと傾斜は急で、自分たちよりもっとよく働く・・・」と驚いて帰ってきたそうです

『日本林業を立て直す』の表紙と…
表紙の速水さんと…

やはり、まずは「できる」というイメージからなのでしょうね

『日本林業を立て直す』の表紙と同じポーズで撮影
同じポーズで撮影!(速水林業の森にて)

下記、速水林業のサイトへのリンクです。
http://www.re-forest.com/hayami/index.html
「バーチャル森林ツアー」というページもあって、速水林業の大田賀山林を画像で見学できます。

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2件のコメント

お越しいただきありがとうございました。昨年の春のお越しいただいたのですね。今年はコロナ騒ぎで山も静かでした。山で働く者は、コロナどこ吹く風で、楽しく毎日汗流して働いていました。
山も回られたこととてもうれしいです。五感で山を楽しんでいただいたと思います。4月は良い季節ですからね。
また、いつでもお越しください。山は変わっていませんが、見せる顔はいつも違いますから。
速水亨拝

速水亨様
コメントをいただき、大変感激しております!
僕はいつか林業塾に参加しようと思っております。
昨年はマルホンさんのショールームに見学に行ったりもしましたが、
林業やFSC関連ではいつも速水さんのお名前をお伺いします。
ぜひたま尾鷲にも行きたいです!
その際はまた本を持参して、サインをいただければ嬉しいです!

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ABOUT US
しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。