アジサイの花の色

雪上のタマアジサイ
こちらは冬枯れのタマアジサイ。夕陽を透過する装飾花が輝いています。

信州の山奥に住んでいると、アジサイの見頃は冬なのではないかと思う事があります。

たくさんの植物が雪に覆われる中、ポツンと立つ枯れたアジサイ。

装飾花は陽の光を透過し、雪面のキラキラと組み合わさって、白い季節にとても目立つ存在です。

梅雨の花、初夏の花のイメージがありますが、環境によって印象は随分と変わるものです。

最近まで人気がなかったアジサイの花

アジサイの青い花
初夏と言えばアジサイの青い花というイメージがありますが、昔から人気があったわけではありません。

そもそも、「梅雨の花」のイメージはそれほど古いものではありません。

人気が出たのは第2次大戦後からなので、僕たちのお爺ちゃんやお婆ちゃん、もしくはひいお爺ちゃん・お婆ちゃんまで遡れば意見が違うというくらいの新しさなのです。

そのまた少し前の江戸時代では、花の色が変わる為、「移り気」「心変わり」「裏切り」の花として、むしろ嫌われていたようです。

青やピンクに変わる装飾花

花期が終わったアジサイの花
装飾花が外を向き、既に花期が終わっている事を示しています。

花色の変化を説明するには2つあります。

一つは「秋色アジサイ」と呼ばれる、鮮やかな色が退色して(色素が分解されて)くすんだ色になる状態。

もう一つは土壌の酸度(pH)の影響です。

アジサイの花色はアントシアニン系色素によって発色しますが、それは土壌のアルミニウムが色素と結合すると青色に、アルミニウムが吸収されないとピンク色になるという事です。

アルミニウムは酸性土壌で溶けやすく、アルカリ性では溶けないので、土壌が酸性の場合は青い花、アルカリ性ではピンク色の花になります。

日本は酸性土壌なので青色が多く、ヨーロッパではアルカリ性土壌なのでピンクが多くなります。

美しさを見出したのは外国の人々

ノリウツギ
こちらはノリウツギの枯花。白い花が山の中でも目立ち、やがて退色しても形が残り、冬の間も楽しませてくれます。

現代では、花の色が変わるなんて楽しそうと思ってしまいますが、植物の流行も変わるのですね。

いずれにせよ、人気が出るには大きな変化(人間側の)が必要でした。

奈良時代の文献にも出ているくらい古くから知られていたにも関わらず、ずっと不人気でしたが19世紀にヨーロッパに持ち込まれ、日本のアジサイ(ガクアジサイ)を元に様々な園芸種が開発され「東洋のバラ」とも呼ばれるまでになります。

ヨーロッパからの逆輸入で日本でも人気に

アジサイの春の芽吹き
春の芽吹き。枯れたような茎から鮮やかな新芽が出る様子は、生命の再生を見ているようです。

その後、晴れて(なのかどうかわかりませんが)日本に里帰りし、現在のアジサイのイメージが出来上がる事になります。

今では、ヨーロッパと同じように様々な園芸種が楽しまれ、花色が変わる事も好意的に受け取られていると思います(色が変わらない花も人気があります)。

アジサイとしては人間(東洋人でも西洋人でも)にもてはやされる事は期待も不安もしていなかったかも知れませんが、生息地を拡げているのであれば、結果的には良かったでしょう。

四季を通して楽しめる装飾花

雪を被ったタマアジサイ
こちらはタマアジサイ。冬の間も残る装飾花に雪が積もっています。

長く、遠い旅をして身近に咲いているアジサイ。

僕たちの子どもや孫の世代にとってのアジサイは、どのような印象になっていくのでしょうか。

秋色アジサイはもちろん、変化する花色や、冬の枯花、春の芽吹きまで「一年中、楽しむ花」となるのかも知れません。
実際、そうなのですから。

植物名ガクアジサイ
漢字名額紫陽花
別名 
学名Hydrangea macrophylla f.normalis
英名 なし
科名・属名アジサイ科アジサイ属
原産地日本
花期5~7月
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Shoji(しょうじ)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。2019年~イタリア・トリノの自転車ブランド・3Tアンバサダー。