『日本のスミレ(山渓ハンディ図鑑)』、スミレの本

『ヤマケイハンディ図鑑6 増補改訂 日本のスミレ』
『(ヤマケイハンディ図鑑6 増補改訂)日本のスミレ』。

『日本のスミレ(山渓ハンディ図鑑)』は、スミレの種類の見分けに便利な上に、コラムも豊富で読み物としても楽しめます。

現在入手可能なのは電子版だけなのですが(紙は絶版)、iPadなどのタブレット端末を持っている人にはぜひオススメしたい、今回はそんな記事となります。

信州の山奥の我が家周辺のスミレの写真と合わせてどうぞ。

スミレの種類を調べるのに便利な植物図鑑『日本のスミレ(山渓ハンディ図鑑)』

キバナノコマノツメ
キバナノコマノツメ。和名に「スミレ」の名をもたない唯一のスミレです。

まず、植物図鑑としての機能性が優れています。

スミレに特化した図鑑なので、検索する時も細かく具体的です。

A, B, Cの手順で調べる事になります。

スミレの名前の調べ方(キバナノコマノツメの場合)

キバナノコマノツメ(上の写真)を例に、簡単に紹介します。

A. 地上茎があるor地上茎がない

地上茎がある場合、花の色は何色か?
以下の3つの選択肢があります。

B. 花は黄色
B. 花は白で中心が黄色
B. 花は白または紫色

花が黄色だったとします。
すると、以下の2つの選択肢があります。

C. 葉は心形~長三角形→キスミレ類
C. 葉は腎形~円形→キバナノコマノツメ類

花が黄色の場合は種類が少ないのでA~Cですが、白か紫色の場合は種類が多くなり、A~Eまで行程が増えます。

このように、順番に確認していくのは他の植物でも同様ですが『日本のスミレ』はスミレの専門書です。

確認項目が細かくて分かりやすいです。

世界のスミレ・フリークからも注目される日本のスミレ

日本では普通に見られるスミレの花
日本にはたくさんの種類のスミレが自生しています。

調べやすいという実用性だけではありません。

著者・いがりまさしさんのコラム(読み物)も、スミレに特化している事で、とても読み応えがあります。

例えば「世界のスミレフリーク」という章(要約します)。

2000年頃、世界的な園芸の掲示板で日本のスミレがブームでした。掲示板の「エイザンスミレとヒゴスミレの見分け方を教えてほしい」「日本のアリアケスミレに似ているが?」、そんな質問に答えていくうちに、いがりまさしさんは世界中のスミレフリークと交流する事になります。そうして得られた知識や体験談が紹介されていますが、抜粋すると、
・イギリスのスミレは20種ほどで、すべてヨーロッパとの共通種でイギリス特産のスミレはない。
・フランス・トゥールーズは「スミレの街」を標榜していて、国際スミレ交流会が開かれている。
・オーストラリアにはスミレは8種類しか自生していない。日本に遊びにきたオーストラリア人に「1ケ所で10も20ものスミレが見られるから、きっとびっくりするぞ」と、いがりさんがいうと「お前がオーストラリアに来たらもっとびっくりするさ。1種見るたびに何百キロも走らなきゃならないからな」と切り返されたそうです。

『日本のスミレ』内、「世界のスミレフリーク」の要約

日本はスミレ大国(60種が自生)

お茶に浮かべたスミレの花の砂糖漬け
砂糖漬けを作って、お茶に浮かべてみました。

上記「世界のスミレフリーク」からも、日本はたくさんのスミレを観察できる恵まれた環境だとわかります。

60種類が自生しているというのだから、先ほどの海外の数と比べると驚異的ですよね。

同じ事を、牧野富太郎博士も述べています。

「わが日本はスミレの種類の多いことじつに世界一で、つまりスミレでは日本は世界の一等国である」。

『なぜ花は匂うか』「スミレ講釈」牧野富太郎
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スミレの名前の由来

牧野富太郎『なぜ花は匂うか』の「スミレ講釈」
牧野富太郎『なぜ花は匂うか』の「スミレ講釈」。kindle(キンドル)版。

牧野富太郎博士と言えば、スミレという名前の由来でもお馴染みです。

スミレの由来は大工道具の「墨入れ」(スミイレ)が転じた、とういわゆる“牧野説”と、古代から戦に使われた旗印の「墨入れ」が由来というものなど、いくつかの説があるのです。

これに対して、いがりまさしさんは、どの説も決定的な根拠が乏しい、という意見とその理由を述べられています。

「大工道具や血なまぐさい戦の旗印からスミレの名を想像するのは難しい」、とも。

kindle版(電子版)だからこそオススメ

iPadで読む植物図鑑
iPadで読む植物図鑑。

素晴らしい本なのですが、冒頭で述べたように、紙の本は絶版です。

残念ではありますが、kindle(キンドル)版(電子版)はオススメです。

僕の場合はiPadで読んでいて、カラー写真が美しいです。

我が家のような山暮らしだと、電子版の方がかさばらないし傷まないし、ありがたいですね

スミレの閉鎖花
こちらはスミレの閉鎖花。

この春(2020年)はあまりお出かけしなかったので、近場に咲くスミレと電子書籍に楽しませていただきました。

来年の春はしっかり勉強して、いろんなスミレの花を観察してみたいです。

kindle(キンドル)で読む梶井基次郎の『檸檬』
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2件のコメント

しょうじさん、こんにちは。

いつも魅力的な本を紹介していただき、感謝です。

この本もKindle版で早速入手しようかと思います(^-^)

この本を抱えて野山を散策するにはKindle版は便利かもしれませんし(^_−)−☆

既に、来年の春が待ち遠しいです。

追伸。先日こちらのサイトに私が書き込んだコメントにも、丁寧にお返事をいただき感激しております。

フローレンス様
こんにちは!
いつもコメントありがとうございます!
おっしゃる通り、kindleを鞄に入れておいて、野山を散策するのも良いかもしれません(^。^)
来年の春、たくさんのスミレを見比べるの、楽しみですね!

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ABOUT US
しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。