信州に住んでいると、丸山珈琲は身近な存在です。
スーパーマーケット・ツルヤに行くと丸山珈琲のコーヒーがたくさん棚に並んでいるし、丸山珈琲の実店舗もいくつかあります(軽井沢が本店)。
普段は自宅で楽しんでいる丸山珈琲のコーヒーですが、お店に行くと、注文するのは大抵シングルオリジンのコーヒー(特にゲイシャ)。
そしてその銘柄をフレンチプレスで。
スペシャルティコーヒーならではの香りを丸山珈琲のフレンチプレスで
丸山珈琲に来店するようになって、初めて知ったフレンチプレス。
コーヒーが持つ油分が多く残るので、素材本来の味を引き出しやすい抽出方法なのだそうです。
確かにフレンチプレスで淹れたコーヒーは、油が表面に多く浮かんでいる(ペーパードリップに比べて)のを確認できます。
植物としてのコーヒー
スペシャルティコーヒーと呼ばれる、高い基準のコーヒーの特徴として、近年は益々この「素材本来」の味が求められるようになってきています(サードウェーブなどの流行)。
丸山珈琲の社長、丸山健太郎さんの本『コーヒーの扉をひらこう』を読むと、コーヒーの木という植物について、想像が膨らみます。
雨の後、コーヒーの花はいっせいに開花します。ジャスミンに似たその白い花は、香りもそれに近く、エキゾチックな甘さがあります。この季節に農園に行くと、むせかえるような甘い香りに包まれて、まるで楽園に迷い込んだようです。
『コーヒーの扉をひらこう』丸山健太郎
「酸味」についての言及も興味深かったです。
日本人にとって「酸」は「すっぱい」イメージですが、コーヒーにおける「酸」はフルーツの爽やかさであり、その酸味はオレンジやブドウ、リンゴなど、その味わい方がいろいろあるそうです。
マイクロ・クライメイトによって変わる風味特性
普段、何気なく飲んでいる1杯のコーヒーも、元はコーヒーチェリーという赤い実であり、熱帯の標高1600mや1800mという特殊な環境で栽培される農産物なんですよね(特にアラビカ種)。
それぞれの地域の気候や標高はもちろん、どの稜線の畑か、日当たり、風向き等、マイクロクライメイト(微小気候)によって違う風味特性を発達させるコーヒーチェリーという農産物。
本を読んだりして、知識を得るとじっくりと味わいたくなります。
カップ・オブ・エクセレンスと丸山珈琲
このブログで丸山珈琲について記事にしたかった理由として、もう一つ。
「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」という、コーヒーの国際品評会があって、丸山珈琲はそのCOEで、何度も史上最高価格でコーヒー豆を購入しているのです。
COEは、元は最貧国救済のための国連プロジェクトの一環としてスタートしたプログラム。
入賞する事で、コーヒー豆が高値で落札され、農園のコミュニティが潤います。
慈善事業というのではなく、生産者と消費者を繋げながら、ビジネスを大きくして(バイイングパワーを高めて)、結果として生産者の環境改善になる、という丸山珈琲の事業。
バリスタのチャンピオンが何人も在籍する丸山珈琲
お店のスタッフの人たちの知識や技術も、そうした現れなのでしょうか。
産地や生産者はもちろん、畑の事をも知る人が接客してくれる事があって、驚かされる事があります。
世界レベルのバリスタが何人もいるというのが、何よりも証左でしょう。
多様性を志向する世界的潮流
「サードウェーブ」「シングルオリジン」といった流行は(丸山珈琲だけに限りませんが)、コーヒーの木という、植物そのものの個性を味わうという方向性であり、それらは僕たちを優しい気持ちにさせてくれるものでもあるのかなと思います。
メガミルからマイクロミルへ。
コーヒーの世界が求めている多様性は、ヒトと植物の豊かな営みとも言えます。
丸山珈琲のフレンチプレスは、いろんな意味で(信州に住む者としては誇らしくもある)、じっくり味わいたいコーヒーなのです。
※以前に、丸山珈琲の「コーヒーとチョコレートのペアリングセミナー」についての記事も作っています。
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