コーヒー、シングルオリジン

シングルオリジンコーヒー

スターバックスの「リザーブ」や、ブルーボトルコーヒー、信州だと丸山珈琲。いろんなお店で、シングルオリジンと呼ばれる「生産者の顔が見えるコーヒー」をよく見かけるようになりました。こうした動きの前提として、コーヒー農家の人たちの困窮という状況があります。

いま、アフリカ・中南米・アジアの“一次産品”(コーヒー・カカオ・コメ・綿花・コショウ)の生産が危機に瀕しています。グローバリゼーション、つまり世界的な民営化・規制緩和の推進の結果、一次産品の国際相場は生産コストを大きく下回り、品質も低下の一途をたどっているのです。途上国の農民たちが極度の貧困に陥り、3秒に一人の子どもが死んでいることが、世界的な問題になっていますが、主な原因は、この一次産品の生産の危機です。その一方で、多国籍企業や投機ファンドは空前の黒字を出しているのです……。
『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語 生産者を死に追いやるグローバル経済』ジャン=ピエール・ボリス(林昌宏 訳)

『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語 生産者を死に追いやるグローバル経済』ジャン=ピエール・ボリス(林昌宏 訳)

『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語 生産者を死に追いやるグローバル経済』ジャン=ピエール・ボリス(林昌宏 訳)

植物としてのコーヒー、コーヒーの木

コーヒーの木の実

コーヒーの木の実。熟してサクランボのようになる事から「コーヒーチェリー」と呼ばれます。

植物としてのコーヒー(コーヒーの木)は、アフリカのエチオピア原産、熱帯か亜熱帯で育つアカネ科の植物です。生育条件が厳しく、適度な量の雨や日当たり、気温、酸性の土壌、そして雨季と乾季がある、熱帯の高地のような場所でしか生育しません。9世紀、エチオピアの山奥で、山羊飼いのカルディ少年(カルディ コーヒーファームの名前の由来)がコーヒーの実の効用を発見し、食用されるようになったとされます。その後17世紀、トルコ軍がウィーンに持ち込んでいた事がきっかけで、ヨーロッパに広まりました(ブルーボトルコーヒーの名前は当時のヨーロッパ初のコーヒーハウス「The Blue Bottle」から来ているそうです)。その後のコーヒー人気から、オランダ東インド会社がセイロン島やジャワ島にコーヒーの木を移植したのをはじめ、ヨーロッパ各国のプランテーションが、先述の生育条件の「コーヒーベルト」に拡がる事になります。

グローバリゼーションとコーヒー

上記『コーヒー~の暗黒物語』に話しを戻します。この本で紹介されている、近年のコーヒー農家の惨状を読むと、植民地産業のような、奴隷制が続いているかのようです。2000年初頭、コーヒーの国際相場価格が史上最低価格を記録し、農家が生活できなくなるような状況に陥ったそうです。何故そうなるのか?誰が悪いのか? 単純ではありません。
直接的には、コーヒーが生産過剰になっていたという事が理由で、ヴェトナムが国策としてコーヒー栽培を勧め、世界銀行が後押しした事と、ブラジルも銀行や国家の支援を受けた企業の戦略により、生産量を大幅に増やした事が背景にあります。また、「国際コーヒー協定」による市場管理の体制が崩れたのも大きな要因とされます。1989年、アメリカが協定から脱退した事がきっかけでしたが、レーガン政権がニカラグアの当時の政権を嫌っていたという事情、協定に加盟していない共産圏諸国の存在を懸念したという事情がありました。そして、大きいのは「市場がすべて」という自由主義理論が原因だといいます。ここでは詳しくは述べませんが、全世界のコーヒー豆の生産量の約7割を担う、10ヘクタール以下の小さな農家(多くが家族経営)の人たちがグローバリゼーションによって翻弄されている現状があるようです。

コーヒー豆とは、実際には豆ではなくコーヒーの木の種子です。

生産者の顔が見える農産物を支持するという事

ブルーボトルコーヒーなどの「シングルオリジン」が支持されるのは、他の農産物と同様にプランテーション(大量栽培)への不支持、丁寧に作られたものを口にしたいというニーズでもあるでしょう。先日、僕はスターバックスのコーヒーセミナーに参加しました。その際、多くの時間を割いて説明を受けたのが「責任を持って栽培され、倫理的に調達されたコーヒー」の重要性についてでした。丸山珈琲では、自社発行のタブロイドやホームページで各地の生産者を詳しく紹介しています。

丸山珈琲のコーヒー

丸山珈琲のコーヒー。シングルオリジンはもちろん、ブレンドも美味しく、信州ではお馴染みのメーカーです。

日本で飲むコーヒーもグローバル経済と繋がっています。「なんとなく」選ぶインスタントコーヒーよりも、じっくり味わうシングルオリジンコーヒーの方が、あらゆる意味で美味しいはず。限られた条件でしか育たないコーヒーの木の個性は、生産者や消費者、関係する全ての人の行動規範によって、香り立つのだと思います。
※この続きの記事『コーヒーと多国籍企業』を作成しました。

広告
広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です