今シーズン(2023~2024年)は、寒暖差が大きい冬でした。
「でした」と言うより、正確にはまだ冬は進行中で(信州の山間部では)、振り返るのは少し早いかもしれませんが。
記録的な暖かさで雪も少なく、
「フキノトウが採れるんじゃないか!?」
とか、
「スキー場はもう閉業か!?」
などと話題になっていたのが、急に寒さと雪が戻ってきた、冬の終盤。
今回は、そんな2月の下旬から3月にかけて見られた雨氷(うひょう)と霧氷(むひょう)の様子を、簡単にご紹介します。
雨氷(うひょう)とは?
雨氷(うひょう)とは、0℃以下でも凍っていない過冷却状態の雨粒が枝や葉につき、膜状に凍った状態を言い、着氷現象の一つだそうです。
かなり珍しい現象で、10年に1回程度、と聞きました。
確かに、我が家は山暮らし初心者とはいえ、ここ数年暮らしていて初めて見ました。
霧氷(むひょう)は時々、見られる
対して、霧氷は時々、見られます。
同じく過冷却状態の霧粒が枝や葉について結晶になっていく、というのが霧氷です。
以前、スノーシューツアーに参加した時の記事でも、霧氷を紹介しています↓
信州の雨氷の風景
以降、我が家の周り(カラマツ林)で見られた雨氷×樹木の様子を。
雨氷×ヤマブキ
ヤマブキは、株立ちしているので、氷の束(?)が見応えがあります。
ちなみに、ヤマブキについては下記記事を作っています↓
雨氷×ガマズミ
ガマズミは、秋の実をジャムにしたりするのですが、まさか冬にこうして枝がキャンディーのようになろうとは!
雨氷×ブナ
ブナは、若木は冬でも枯葉が残りやすい樹種です。
雨氷によって、枯葉がピカピカと輝いて、こちらも飴細工のようでした。
雨氷×ミズナラ
ミズナラは、春の新緑が楽しみな木です。
今回の雨氷では、他の樹種よりも、枝の氷の厚みがあるような気がしました。
雨氷×ダンコウバイ
ダンコウバイは、まだ雪が残っているような季節に咲く黄色い花が個人的に大好きな木です。
花の香りを嗅ぐのが今から楽しみですが、まさかこんな風に氷に包まれるとは、木もビックリしているかもしれません。
雨氷×サワフタギ
サワフタギは、白い花もいいですが、最も目につくのは秋の青色の実。
低木で枝が横に伸びるので、こうして雨氷の様子を撮りやすかったです。
雨氷×エンコウカエデ
エンコウカエデはイタヤカエデとほぼ同じ、区別しない場合もあります。
葉の裂片が細長く、テナガザルの手を思わせるところから猿猴(エンコウ)の名がついています。
今回は凍ってしまった(!?)テナガザルの手!
雨氷×カラマツ林
ちょっと写真ではわかりにくいのですが、カラマツ林全体が凍り付いて、太陽を背にすると銀色に光り輝いておりました。(望遠レンズだともっと上手に撮れたのですが。。。)
2月のカラマツ林というのは毎年、幻想的な風景を見せてくれます(今年は“3月のカラマツ林”)。
雪が少なく、このまま冬が終わってしまうのか、といような中、現れた雨氷の風景。
ずっと記憶に残りそうな、2023・2024シーズンの冬景色でした。
内村鑑三の「寒中の木の芽」
Instagramでも紹介したのですが、最後に内村鑑三の詩、「寒中の木の芽」を。
一、春の枝に花あり
夏の枝に葉あり
秋の枝に果あり
冬の枝に慰(なぐさめ)あり二、花散りて後に
葉落ちて後に
果失せて後に
芽は枝に顕はる三、嗚呼憂に沈むものよ
嗚呼不幸をかこつものよ
嗚呼冀望(きぼう)の失せしものよ
春陽の期近し四、春の枝に花あり
「寒中の木の芽」内村鑑三
夏の枝に葉あり
秋の枝に果あり
冬の枝に慰あり
軽井沢には、石の教会・内村鑑三記念堂があります。
建築もかっこ良くて、オススメです。
冬の木の芽から、春の花、芽吹きの季節へ
凍り付いていた木の芽も、もうすぐ芽吹きや花の季節。
今年は、どんな春を迎えましょうか。
春は、旅立ちや別れ、新たな出会いの季節でもあります。
木の芽に何かの想いを重ねるヒトと植物の旅に、雨氷も加わった今冬です。
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