秋が深まると、樹々の紅葉・黄葉が楽しみになってきますね。
信州の山間部では、カラマツ林の黄葉が有名ですが、その林内で目立つ樹木の一つ、オオカメノキの紅葉と実、そしてその仲間であるガマズミ属(特にサンゴジュ)について、記事にしてみます。
オオカメノキの赤い実から紅葉の季節へ
オオカメノキは夏に赤い実をつけ、やがて黒く熟します。
実が熟していく過程で、大きな緑色の葉が暗褐色へと、紅葉します。
一年を通して観賞できる木
以前の記事『オオカメノキの花(春の白い花と冬のバンザイ)』では、花と冬芽について書いたのですが、紅葉した葉を眺めていると、改めて一年を通して楽しめる植物だと感じます。
そしてまた、オオカメノキが属するレンプクソウ科ガマズミ属というのは、花や実などの特徴によって、庭木としても人気の木だという事も実感します。
レンプクソウ科ガマズミ属の仲間
レンプクソウ科ガマズミ属の仲間には、オオカメノキの他に、下記のような植物がいます。
ちなみに、レンプクソウ科には、ニワトコ(ニワトコ属)も含まれます。
花と実が似ている、 レンプクソウ科ガマズミ属
同じ科・属といっても類似性がわかりにくい場合もありますが、上記のレンプクソウ科ガマズミ属の仲間では、花と実が似ているものが多いです。
そして、赤い実の特徴をとらえたネーミングとして、サンゴジュがあります。
サンゴのよう、という名前のサンゴジュ
『花実でわかる樹木』の解説を引用します。
庭園に広く植栽される。和名のサンゴジュは果実や花序などが赤くなる様子をサンゴに見立てたことによる。
『花実でわかる樹木』(馬場多久男)
植物のネーミングというのは、見た目の印象を元にしたものは覚えやすいですが、サンゴジュは「まさに!」と頷けますよね。
オオカメノキの名前の由来は「大亀の甲」のような葉の木
オオカメノキのネーミングはというと、葉が大きな亀の甲の形をしていることから、といわれています。
紅葉する前、緑色の大きな葉は、確かに亀のようにも見えますかね。
秋は赤い亀、です。
ちなみに別名の「ムシカリ(虫狩)」は葉が虫に食われるため、とも言われますが、葉が大きいので、確かに虫食いの穴は目立ちます。
赤い実から想像するのは「ヤマサンゴ」?
しかし、オオカメノキもまた「サンゴのようだ」という名付けになっていた可能性もあるのかなぁ、という見方もできます。
山のサンゴジュ、という意味でヤマサンゴ、とか。
街のサンゴジュ、山のオオカメノキ
いずれにせよ、僕は信州の山間部で暮らしていて、普段サンゴジュに出会う事はありません。
オオカメノキを見ながら、神戸で住んでいたマンションの植栽にサンゴジュがあったなぁ、などと思い出します。
山と街の木に共通の形態を見つけて、自分と植物の旅を重ねる、山暮らしです。
植物名 | オオカメノキ |
漢字名 | 大亀の木 |
別名 | ムシカリ(虫狩) |
学名 | Viburnum furcatum |
英名 | Scarlet leaved viburnum |
科名・属名 | レンプクソウ科ガマズミ属※旧スイカズラ科 |
原産地 | 日本、台湾、中国など |
花期 | 4~6月 |
・ガマズミ
・ヤブデマリ
・オオデマリ
・カンボク
・ハクサンボク
・サンゴジュ
・他