ホザキヤドリギは、漢字では穂咲宿木(宿生木)と書きます。
穂咲(ホザキ)とあるように、穂状に花が咲くのが特徴のヤドリギです。
先日、松本城と松本神社でホザキヤドリギを観察してきたので、今回はその観察記と合わせて、 ホザキヤドリギとヤドリギの違い、そしてヤドリギの種類について、記事にします。
※以前に『ヤドリギの花と実の季節(半寄生という植物の旅)』という記事を作っています。
ホザキヤドリギは、松本城と松本神社で大量に観察できます
以前から、車で松本城の近くを通る度に、ヤドリギがたくさんあるのを遠目に見ていました。
木々が落葉する冬の間がチャンス! と双眼鏡を持って観察に出かけてきました。
開智駐車場から松本神社の(ケヤキに宿った)ヤドリギが見えます
今回は車を開智駐車場(松本城の北側)に駐めたのですが、既に駐車場からヤドリギが見えています。
双眼鏡で見ると、黄色い実がたわわに実っているのが確認できて、面白いです。
開智駐車場にはHELLO CYCLING(ハローサイクリング)が
ちなみに、この開智駐車場にはHELLO CYCLING(ハローサイクリング)の駐輪場(ステーション)があります。
※以前に松本サイクリングの記事を作っています。
松本城を散策
松本神社から歩いて松本城へ。
お城と共にヤドリギが見られる、というのは良いですねぇ。
埋橋・ 若宮八幡跡でヤドリギ観察
埋橋(うずみばし)付近からは、松本城の天守の横の大木に宿ったヤドリギを観察できます。
そして、若宮八幡跡にあるトウカエデの木に宿ったヤドリギはかなり間近に観察できます。
至近距離で見ると、ヤドリギの樹皮が茶色く、緑色の葉がない(落葉している)ので、厳密にはホザキヤドリギである事が確認できます(後述します)。
「二の丸御殿跡」のケヤキも間近にヤドリギ観察可能
松本城内(公園内)歩いて移動して「二の丸御殿跡」へ。
ここのケヤキの木に宿ったヤドリギもかなり間近に観察できます。
緑色の(常緑の)ヤドリギも発見!
そして、この二の丸御殿跡のケヤキには、ホザキヤドリギだけでなく、緑色の(常緑の)ヤドリギもいます!
松本城周辺ではほとんどがホザキヤドリギなのですが、こうして2種類を観察できたのは収穫でした。
ホザキヤドリギとは?
ホザキヤドリギという植物について、書いておきます。
『原色樹木大図鑑』から少し引用します。
温帯の落葉広葉樹の枝上にはえる落葉寄生小低木。(中略)古い枝は丸く、皮目が多数散生し、サクラの樹皮に似る。(中略)開花は7月頃、本年枝の先に3~5cmの穂状花序をつけ、まばらに無柄で、黄緑色の小花を2個ずつ対生する。
『原色樹木大図鑑』「ホザキヤドリギ」北隆館
ヤドリギとホザキヤドリギの違いは?
ヤドリギとホザキヤドリギの違いはいくつかありますが、最大の違いはヤドリギが常緑であるのに対して、ホザキヤドリギは落葉します。
他、上記『原色樹木大図鑑』にもあるように、ホザキヤドリギの枝はサクラの樹皮に似ていますが(茶色いです)、ヤドリギは枝も葉も緑色です。
冬は落葉し、宿った木(寄主)との境目がわかりにくくなるホザキヤドリギ
なので、ホザキヤドリギは冬に観察すると、黄色い実が目立って、枝の部分はケヤキ等の宿っている木(寄主・きしゅ)との境目がわかりにくく、まるでケヤキの枝先に黄色い実がなっているようにも見えます。
ヤドリギの種類について
ついでに、ヤドリギの種類についても書いておきます。
前述の『原色樹木大図鑑』には、ホザキヤドリギを含む、6種類のヤドリギの仲間が紹介されています。
その中の4種類について『原色樹木大図鑑』の紹介文をそれぞれ短く要約してみました。
●ヤドリギ
※『原色樹木大図鑑』(北隆館)を参考にした要約
実のついた枝は英国などではクリスマスの飾りとする。枝は緑色で二又または三又状に分枝し、鳥の巣状に丸く茂る。
●アカミヤドリギ
学名rubro-aurantiacumは赤色を帯びた黄金色の、の意味。近似種(母種)セイヨウヤドリギは果実が白く熟す。
●ヒノキバヤドリギ
ツバキ、サザンカ、ヒサカキなどの常緑広葉樹の枝上に生える。和名は細かく分枝した緑色の茎がヒノキの葉のように見えるヤドリギの意。
●マツグミ
暖地のアカマツやモミなど常緑針葉樹の枝上に生える。和名はアカマツの枝上によく生え、果実がグミに似ているため。
日本の「ヤドリギ」はセイヨウヤドリギの亜種
上記の、単に「ヤドリギ」とあるのは、一般的なヤドリギのイメージに最も近い種類で、枝葉は常緑で緑色、黄色い実をつけます。
このsambuca(サンブーカ)ブログの「ヤドリギ差し上げます」企画で時々、配布しているのもこのタイプです。
ホザキヤドリギはオオバヤドリギ科、ヤドリギはビャクダン科
そして、ヤドリギの仲間の植物学としての分類についても書いておきます。
ホザキヤドリギもヤドリギ (Viscum album var. coloratum) も、かつてはヤドリギ科に分類されていましたが、現在はヤドリギはビャクダン科、ホザキヤドリギはオオバヤドリギ科とされています。
「ヤドリギ」と名前が付くので、一般的にはヤドリギの仲間としても問題ないと思うのですが、一応(僕の勉強の為?)書いておきます。
まとめ(街中でも見られるヤドリギ)
今回は松本城でヤドリギ観察をしましたが、他にも、東京だと皇居の北桔橋付近でもヤドリギを観察できます。
またどこか、ヤドリギを見られる場所があれば、観察しに行きたいですね。
そして、ホザキヤドリギの花の季節にもまた、松本城に観察しに行こうと思います。
以上、松本城のヤドリギ観察の記録と、ヤドリギの種類についての紹介記事でした。
【追記】ホザキヤドリギの実を採取した記事を作成しました(下記)
植物名 | ホザキヤドリギ |
漢字名 | 穂咲宿木(宿生木) |
別名 | ホザキノヤドリギ |
学名 | Hyphear tanakae |
英名 | なし※ヤドリギはMistletoe |
科名・属名 | オオバヤドリギ科オオバヤドリギ属 |
原産・分布 | 本州(中部地方以北)、朝鮮半島、中国北部 |
花期 | 7月頃 |
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