パタゴニアのジーンズは、ストレッチも長持ちするし、昔からのデニム好きも納得させられるような、優れた製品だと思います。
この記事では、patagonia(パタゴニア)のジーンズを約2年穿いている感想、そしてパタゴニアという企業の取り組みについて、僕の個人的なデニム愛(!?)も交えながら、書いています。
長持ちする、patagoniaのジーンズのストレッチ
パタゴニアのジーンズには「オーガニックコットン71%・ポリエステル29%」の生地が使われています。
この「ポリエステル29%」が履き心地の大きなポイントです。
ストレッチがきいていて、ジーンズにありがちな突っ張る感じがありません。
そして何より長持ちします。
「ストレッチジーンズは伸びてしまう」「長持ちしない」、というような意見を聞くことがありますが、パタゴニアのジーンズに関して言うと、ずっと買った時のままのサイズ感です。
patagoniaのジーンズの色落ちについて
ポリエステル混紡(ストレッチ)のような実用面と合わせて書いておきたいのが、ジーンズの色落ちについてです。
学生時代、僕は古着が大好きで、ヴィンテージ・ジーンズに憧れていましたが、今でもデニムの美しい藍色を見るとトキメキます。
「赤耳」「66モデル」「ビッグE」といったリーバイスのジーンズの生産年代による細かい違い、染色方法や古い織機の生地・・・。
たくさんのウンチクから成る藍色は、僕を魅了しました。
そんな僕にとって、パタゴニアのジーンズの色落ちは、所謂昔の「縦落ち」ではないですが、製造行程などを知る事によって「好きな色落ち」になりました。
以降、その理由について書きます。
オーガニックコットンとジーンズ、環境問題
綿(コットン)は、アオイ科ワタ属の植物で、栽培には大量の農薬、除草剤、綿花の収穫の際には枯葉材が使われ、紡績後も洗浄、脱色、加工の為に大量の薬品が使われます。
ジーンズの場合、インディゴで染める工程で大量の水も使用されます。
製造段階でわざと色落ちさせたり、といったジーンズならではの工程もあります。
パタゴニア経営陣の視点について
ジーンズ製造に関わる、そうした環境問題に早くから着手し、消費者にも訴えてきたのがパタゴニアです。
1996年、綿製品に使用するコットンを全てオーガニックコットン100%に切り替え、他のアパレルメーカーにも大きな影響を与えてきました。
その活動の詳細についてはここでは触れませんが、何故そうした成果が可能だったのか考えた時、僕が感じるのはパタゴニアの経営陣の(イヴォン・シュイナードやヴィンセント・スタンリー)の暖かい視点です。
イヴォン・シュイナードの父親はカナダのケベックからアメリカへやってきた移民だったそうです。
1908年、イヴォンの父親は、両親および10人の兄弟とともに列車でメイン州ルイストンへやってきた。
『レスポンシブル・カンパニー』イヴォン・シュイナード、ヴィンセント・スタンリー
(中略)
家族連れで駅に着けば、その場で、仕事ができる体(6才以上)のメンバー全員が仕事を得られるし、そこから半ブロックで部屋が借りられる。この仕事は、当時、米国人は女性も含めて自分たちがする仕事ではないと考えるようになっており、その代わりを務めたのがフランス系カナダ人というわけである。
これは有意義な仕事だったのだろうか。当時、移民してきた我々の祖先は、そのようなことを考えもしなかっただろう。
(中略)
のちに工場は、労働組合の影響を受けない労働力を求め、ニューイングランド州からノースカロライナ州やサウスカロライナ州へ移転する。いまは、アジアや南米などの海外へ移転した。
※以前の記事(『社員をサーフィンに行かせよう』、patagonia創業者の2冊の本)で、上記『レスポンシブル・カンパニー』を紹介しています。
綿畑では、第2次大戦中に神経ガス兵器として開発された農薬が今も使われ、中国・珠江の河口は未処理の染料で黒く染まり(上流には世界最大規模のジーンズ工場があります)、それらが影響を与えるのは植物や動物、そこに生活する人々であり(巡り巡って僕たちの生活にも影響がありますが)、アパレル産業のグローバル化によって見えにくくなっている事がたくさんあります。
当たり前のようで、気づきにくい事を教えてくれているのがパタゴニアの取り組みであり、ベースになっているのは、イヴォン・シュイナード達の、こうした暖かい視点ではないだろうかと思うのです。
縦落ち(色落ち)から、変わっていくジーンズの判断基準
古着マニアの学生から社会人になった僕は、あまり服にお金をかけないようになり「安さ=企業努力」という論理で買物していた時期もありました。
知らず知らずのうちに自然破壊、生産者の労働環境の悪化に加担してしまっていたという反省。
オーガニックコットン、サステナビリティ、人道的な配慮(サプライチェーンの管理)。
これまでの、ヴィンテージ・ジーンズのディテールや、色落ちのウンチクに変わって、新しい基準が作られつつあります。
オタク的な、理屈っぽい僕の性格は変わることはないのでしょうが、責任を持つ範囲は広がってきていると信じたいです。
少なくとも、美しいと思うジーンズの藍色の基準がアップデートされている事は誇れるような気がします。
おまけ:裾上げについて
ちなみに、裾を折り返したらパタゴニアのロゴが見えるのがこのジーンズのポイントでもあります。
裾上げの時、僕はショップで「ロゴを残しておいてください!」とお願いしました(一度外して付け直す)。
せっかくのディテールだし、オススメです。
shojiさん
いつも楽しく拝読しています。今回は非常に気になるテーマ でした。繊維産業の環境へインパクトは 私も聞きがじっており、タオル一枚
Tシャツ一枚 買うにしても でどころが気になりますし 自分が使用したのちゴミとなるものが自然界に帰れるものかどうかも。
最近は麻という素材に魅力を感じますが、つくづく 購買はあくまでも最終手段 そして最小限がいいなと 若い頃とは全く違う自分になっています。
エコ先進国スイスなどに比べると アメリカも日本も無駄と思える 過剰な包装やプラスチックがまだまだ溢れており 悲しい気持ちになります。
多くの方々の小さな努力と 大きな組織や社会のトップが重要な決断を早くしなければ取り返しのつかないところまで来ていると思うのですが、、
みさおさん!コメントありがとうございます!
まさに、おっしゃる通りで、取り返しのつかないとこまで来ているはずなのですが、
社会の仕組みの改善のスピードはまだまだ不足していますね!
オーガニックコットンについては、アメリカが先駆的に取り組んで、
当初はオーガニックコットンがとても高価だったのが、
現在はブラジルなど、他の地域でも栽培されるようになって、かなり身近になってきています。
日本の企業でもMUJI(無印良品)が現在はコットン製品のほぼ全てをオーガニックコットンにしているようです。
ファッションがきっかけで、綿や植物、自然についての興味や関心に繋がる事もあるので、
こうした記事も書いていますが、みさおさんのような方に読んでもらっていると思うと、とても嬉しいです(^。^)
そうそう、みさおさんの料理で思い出しましたが、アメリカと言えば、
料理だとアリス・ウォータースのような先進的な人やムーブメントが生まれてくるのも、
僕としては興味深いです(^。^)