神戸から信州に移住して、文化的な違いに驚いた事はいくつかありますが、節分もその一つです。
関西では、節分の豆まきと言えば大豆ですが、長野県では(基本的に)落花生なんですよね。
今回は、そんな信州の節分事情に合わせて、ラッカセイという植物について記事にしてみます。
節分には落花生?もしくは大豆?(長野県は落花生)
ネットで調べてみると、どうやら長野県の他にも、北海道や東北、そして鹿児島や宮崎は落花生で、その他の地域は大豆のようです。
※こんな記事を見つけました(『節分の豆はどっち?北は落花生、東西は大豆』)。
スーパーマーケットのツルヤに行くと、節分コーナーには落花生が山積みしてあって不思議に思っていたのですが、なるほどそういう事だったんですね。
落花生ならではの利点(豆まきの後に拾いやすい)
なぜ、落花生なのか。
理由としては、まいた豆を拾いやすい、殻に入った豆の方が衛生的、という利点があるようです。
落花生の来歴からすると(後述します)、節分に落花生が使われるようになったのは早くても戦後(1950年)頃からで、それまでは(信州でも)大豆が使われていたと思われます。
当時、大豆から落花生に変更した人たちは至極合理的(?)な考えの人たちだったのでしょう。
現代では大豆も袋入りで豆まき?
しかしながら、現代では節分の大豆は個包装されたものが多いです。
豆まきの時は、袋のまま蒔くという風に変わって来ているんじゃないでしょうか。
作物のニーズというのも、技術革新や流通などにも影響されますね。
ラッカセイという植物について(ラッカセイの特徴と魅力)
この記事を作るにあたり、『ラッカセイ』(農文協)を読んでみたので、ラッカセイの特徴や魅力について、抜粋しながら豆知識(笑)を紹介します。
最大の特徴だと思える、4つのポイントをピックアップしてみました。
落花生という名前の由来は植物的な特徴(落ちた花から実が生える)
落花生という名前の由来は、そのまま植物としての特徴を捉えていて、まさに「落ちた花から実が生える」のがラッカセイです。
花が咲いて5~7日すると、子房が押しだされ、根のような子房柄になり、その子房柄は下に向かって伸び出し、土中に進入します。
ちなみにラッカセイの学名は「Arachis hypogaea L.」です。
hypogaeaは「地下に実ができる」なので、こちらも似た名付けと言えますね。
ラッカセイの原産地と来歴
ラッカセイの原産地はアンデス山脈のふもととする説が有力で、16世紀の新大陸発見によって世界に広がりました。
日本へは、江戸時代に中国から伝わりますが、当初は広まらず、本格的に栽培が始まったのは1847年(明治政府が栽培を奨励)からで、アメリカの種子だったそうです。
急激に栽培が増加したのは戦後で、1965(昭和40)年には全国の栽培面積が6.7万ヘクタールになり、その後は減少に転じ、現在では8000ヘクタールを下回っています。
どこでも栽培できて、病気にも強い作物
ラッカセイの栽培は手間がかからず、乾燥に強くて土地を選びません。
病気や害虫の被害も少なく、収穫物として軽いので、耕作放棄地、遊休地の活用に向いている、と『ラッカセイ』著者の鈴木一男さんは述べています。
畑を良くする(環境に優しい省エネ作物)
ラッカセイの根には根粒菌が共生し(根粒菌はマメ科植物に特有の共生菌)、作物から栄養分をもらう代わりに空気中から固定した窒素を作物に与えます。
なので、肥料成分のうち窒素については他の作物に比べて少なくてすむ、病気にも強い(前述の通り)ので、農薬も少なくてすむなど、環境に優しい省エネ作物と言えるのだそうです。
まとめ(ラッカセイと地域性)
日本国内では、ラッカセイは7割以上が千葉県産です。
興味深いのは、そんな千葉県の節分豆はダイズが多い、という事。
信州では、ツルヤではラッカセイが山積みされていますが、全国チェーンであるカルディではダイズの商品がメインです。
もし、ダイズの個包装がなければ、ラッカセイはもっとシェアを伸ばして、カルディにもたくさん並んでいたでしょうか。
ダイズとラッカセイが混在する節分事情は、この先どんな変化を辿るのか。
10年後、20年後はまた変わっているのかも知れません。
アンデス山脈から始まった、ラッカセイの旅についても思いをはせる、信州の節分です。
※節分のヒイラギについての記事も作成しました。
植物名 | ラッカセイ |
漢字名 | 落花生 |
別名 | ピーナッツ、南京豆、地豆、双子豆、ジーマミなど |
学名 | Arachis hypogaea |
英名 | Peanut |
科名・属名 | マメ科ラッカセイ属 |
原産地 | 南アメリカ、アンデス山脈 |
花期 | 6~8月 |
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