シナモンの香りというのは独特です。
甘いものを引き立てる甘味を持ちながら、少し辛味もあったり、シナモン自身も味や香りを適度に主張します。
冬の寒い日、暖かいコーヒーや甘いお菓子と共にある、シナモンの香り。
今回は、そんなシナモンという植物について記事にます。
シナモンの香りの成分はシナミックアルデヒドやオイゲノール
シナモンの香りの元は、精油の主成分であるシナミックアルデヒドやオイゲノールなどです。
『スパイスのサイエンス』という本から少し引用します。
シナモンの香味は、採集部位、産地、種類などによって違いますが、一般に若干の辛味と甘味を伴った清涼感と、独特の芳香に特徴があります。
『スパイスのサイエンス』武政三男
(中略)
これは精油の主成分であるシナミックアルデヒドやオイゲノールなどによるもので、料理への使い方もこの特徴を活用するのがコツとなります。
上記『スパイスのサイエンス』はサブタイトルが「スパイスを科学で使いこなす」で、料理はもちろん、植物の勉強の本としても面白いです。
シナモンスティックとパウダーの使い分け
ついでに書いておくと、シナモンはスティック状とパウダー、2つのタイプがありますが、スティックはピクルスやシチュー、飲み物に向いています。
コーヒーなどの飲み物にパウダーを使うと香味が強く出すぎる気がします( 『スパイスのサイエンス』 にもそのように書かれています)。
スプーンの代わりにシナモンスティックでかくはん、くらいが良いんですよね。
シナモン(セイロンニッケイ)という植物
ここからは、シナモンという植物について。
正式な和名は「セイロンニッケイ」。
ケイヒ(桂皮)やニッケイ(肉桂)も総称してシナモンと呼ばれる場合もありますが、狭義には 「セイロンニッケイ」 がシナモンです。
利用されるのは樹皮だけではない
シナモンスティックは、そんなセイロンニッケイの樹皮の内側の部分を乾燥させたものですが、部位によって精油成分が異なり、葉はベイリーフのように、未熟果はチョウジと同じように使われ、根にはカンファー(樟脳)が含まれます。
そうして、全株が利用されるのがセイロンニッケイなんですね。
日本国内にはヤブニッケイなどの仲間が
セイロンニッケイは南インドやスリランカ原産の植物とされますが、似た仲間として、ニッケイ(中国原産)、ヤブニッケイ(日本にも分布)などがあります。
シナモン、ニッケイに共通する香り
これら、セイロンニッケイの仲間(クスノキ科)に共通するのは、やはりその香りです。
京都の八つ橋の原料はニッケイ(ニッキ)が使われます。
ヤブニッケイは、種子から香油を、葉や樹皮は薬用にされます。
クスノキ科らしい共通点、三行脈の葉
そしてさらに大きな見方をすると、セイロンニッケイ(シナモン)が含まれる「クスノキ科」は、葉の三行脈という共通点があります。
三行脈とは、(簡単に言うと)葉の基部から3本の線が目立つ特徴の事を言いますが、セイロンニッケイが属するクスノキ科の植物の葉は、三行脈が特徴的です。
信州の山間部でも見つけられるクスノキ科・ダンコウバイ
以前の記事『ダンコウバイの香りとクスノキ』でも、そんなクスノキ科の旅(?)について触れましたが、南方から遠く離れた、こんな信州の山奥でもその独特な香りと三行脈という形質を見つけられます。
冬のシナモンの香りから想像する、暖かい場所
シナモン(セイロンニッケイ)を初めとする、クスノキ科の多くの植物が熱帯と亜熱帯に分布します。
そんな、暖かい場所を想像させられるのでしょうか。
冬の寒い日、暖かいシナモンコーヒーや、シナモンパウダーを振りかけたお菓子を食べると(シナモンロールも)、ホッとするような安心感を覚えます。
そうそう、ジンジャークッキーというのも、味の主役はほぼシナモンですよね。
なんとも不思議で面白い、植物の進化と分布の旅です。
シナモンの香りは好きですか?
いろんな人に聞いてみたいです。
植物名 | セイロンニッケイ |
漢字名 | 錫蘭肉桂 |
別名 | シナモン、セイロンシナモン |
学名 | Cinnamomum verum |
英名 | Cinnamon tree |
科名・属名 | クスノキ科ニッケイ属 |
原産地 | 南インド、スリランカ |
花期 | 6~7月 |
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