上高地に行くルートとして一般的なのは、新島々駅からバスに乗るか、マイカーの場合は沢渡(さわんど)まで行ってバスかタクシーを利用するという行き方です。
しかし、そうした現在の道路ができる昭和初期までは、徳本峠を歩いて越えるルートが使われていました。
芥川龍之介や、(嘉門次小屋の)嘉門次や、(ウェストン祭)のウォルター・ウェストンといった歴史を感じられるクラシック・ルート、徳本峠越え。
先日行ってきたので、植物の写真と共に紹介します。
クラシックルート「徳本峠越え」で上高地へ
所要時間(コースタイム)について
今回はハイキングではなく、トレイルランニングに近いペースで行ってきたので、あえて所要時間については記載していません。「徳本峠越え」は登山ガイド等では1泊2日のコースとして紹介されています。ご注意ください。
登山口(島々谷)へのアクセス
徳本峠の登山口へは、新島々駅から歩く(4kmくらい)か、バスに乗るか(上高地行きのバスに乗って5分くらい)、もしくはマイカーでアクセスして、登山口の駐車スペースに駐車します。
島々谷の登山口からしばらくは林道
登山口のゲートを通過してしばらくは島々谷川沿いの林道を行きます。
道沿いにはミゾソバが群生して咲いていました。
ミゾソバ
ミズヒキ
ミズヒキも多かったです。
6kmくらい進むと、二俣という場所に。
公衆便所があります(和式です)。
これ以降、いよいよ登山道です。
二俣からは本格的な登山道
沢にかけられた木の橋を渡ったりしながら約5km進むと、岩魚留小屋に到着します。
ここから先は傾斜がきつくなります。
沢沿いの道から離れていく事で陽射しが強くなり、植生も変わってきます。
岩魚留小屋からは傾斜が急に
ヤマトリカブト
ここで、少し『河童』から引用します。
三年前の夏のことです。僕は人並みにリユツク・サツクを背負ひ、あの上高地の温泉宿から穂高山へ登らうとしました。穂高山へ登るには御承知の通り梓川を遡る外はありません。僕は前に穂高山は勿論、槍ヶ岳にも登つてゐましたから、朝霧の下りた梓川の谷を案内者もつれずに登つて行きました。
『河童』(芥川龍之介)
徳本峠からの絶景
つづら折りの急斜面を登りきると、徳本峠小屋に到着です!
連休のこの日はけっこう賑わっていて、テントを張っている人もかなり多かったです。
テント場
しばし景色を眺めたら、上高地へ下山です。
徳本峠小屋のダケカンバ
徳本峠から明神池までの下り、樹々の合間から穂高連峰を横目に、ぐんぐん下ります。
上高地に到着
上高地(明神)に到着すると、かなり季節が進んでいる印象です。
ノコンギクが目立ち、サラシナショウマの花期が終盤です。
サラシナショウマ
ノコンギク
河童橋からの景色を堪能して帰路
河童橋から見上げる山々。
登った経験が増える度に、この風景への思い入れは強くなります。
芥川龍之介も同じ花を見ただろうか、なんて想像する今回の山行もまたその一つです。
またここに戻ってきたいですね。
●季節は夏の終わり
●9月中旬~下旬の植物散策
●徳本峠越えで上高地を目指します