ミモザとネムノキは同じマメ科です。
マメ科は非常に大きな植物群で、同じ科といっても多種多様です。
この記事では、その中でもミモザやネムノキ、オジギソウ等、ふさふさの花を咲かせる植物(ネムノキ亜科)について書いてみたいと思います。
ミモザとネムノキ、ふさふさの花を咲かせるマメ科の近縁種
ミモザとネムノキは、分類としてはマメ科とされる事が多いですが、ネムノキ科もしくはマメ科のネムノキ亜科とされる場合もあります(APG植物分類体系)。
確かに、ダイズ(大豆)やハギ、フジなどの蝶形の花と、ミモザやネムノキのフサフサの花とでは、印象が随分と違います。
これら、ポンポンのような、フサフサの花のまとまりがネムノキ亜科と言えます。
ちなみにこのネムノキ亜科、英語ではMimosa family(Mimosaceae)です。
ミモザ?アカシア?(ネーミングの混乱)
ネムノキ亜科が英語ではミモザ・ファミリー、というのはややこしいですが、それぞれの植物名についても複雑な状況があります。
まずミモザ。
正確にはミモザという植物名はありません(個人的にはミモザという呼び名で良いと思っています)。
一般的に、ミモザと言うとギンヨウアカシアとフサアカシアの事を指し、ややこしいのは「アカシア」とも呼ばれる事です。
アカシアという呼び方も、1000種類以上ある植物群(ネムノキ亜科アカシア属)を指す事になるので、大雑把な呼び方と言えます。
また、ニセアカシア(ハリエンジュ)という別の樹木もある事を考えると、アカシアという呼び方は混乱しそうです。
本来のミモザはオジギソウ
こうした、ややこしいネーミングの始まりはヨーロッパです。
オーストラリア原産のフサアカシアがヨーロッパに渡り(19世紀)、オジギソウ(学名はミモザ)に似ている事から「ミモザ・アカシア」と名付けられた後、略してミモザと呼ばれるようになったという経緯があります。
オジギソウとネムノキ、「葉を閉じる」特徴を捉えたネーミング
オジギソウはと言うと、オジギソウの学名「Mimosa pudica(ミモザ・プディカ)」のミモザは、古代ギリシャのミモス劇(mimos)が語源とされます。
ミモス劇とは、パントマイムの元になった身振り劇で、オジギソウ(ミモザ・プディカ)の「葉を閉じる」という特徴を、お辞儀をする、ヒトの真似をする、という風に見たネーミングなんですね。
そしてネムノキは「眠の木」の意味で、夜になると葉が閉じて眠るように見える事から付いた名前です。
それぞれ、特徴を捉えたネーミングであれば誰もが納得しやすい名前になるのでしょうね。
ミモザ・ファミリー(ネムノキ亜科)の旅
ともあれ、21世紀の現代です。
様々な植物が世界中を行き来し、ネムノキ=眠の木というような名前の付け方は難しく、外国の言葉をそのままカタカナにする場合が多くなります。
覚えにくい植物名も多い中、ミモザという呼び名がここまで広まっているのは、ポンポン・フサフサの花の魅力はもちろん、言葉の響きの良さも功を奏したのかもしれません。
植物の、遠くへ旅をする為の戦略は様々ですが、ヒトの手や言葉を介したミモザの旅もまた、一つの形と言えるでしょう。
ミモザの日から想う初夏
北半球の3月は黄色い小さな花のミモザ・ファミリーの季節です(南半球は9月)。
初夏になれば、ピンク色の大きなミモザ・ファミリー、ネムノキの花が咲きます。
まだ肌寒く、ネムノキの枝に下がる実を眺めながら、夏の陽射しを想う3月8日です。
植物名 | ギンヨウアカシア |
漢字名 | 銀葉アカシア |
別名 | ※ミモザはギンヨウアカシア、フサアカシアなどのマメ科アカシア属の植物の俗称 |
学名 | Acacia baileyana |
英名 | Mimosa |
科名・属名 | マメ科(ネムノキ亜科)アカシア属 |
原産地 | オーストラリア |
花期 | 2~3月 |
うちの家にはオジギソウ、山野で拾った種の実生の野生ネムノキ、高麗ネムノキ、トキワネムノキ、ヒネムが植わっています。
この中でも一番好きなのはオジギソウで、見ていて全く飽きません。
閉じた葉を手で触っていると、毛並みの良い猫を撫でている様な不思議な感覚に囚われます。
カマロZ28様
コメントありがとうございます!
なんと、お庭にそんなにたくさんのネムノキ亜科があるのですね!
「毛並みの良い猫を撫でている様」という表現、良いですね!
確認してみたくなりました(^。^)