神戸に帰省した時、時々立ち寄る六甲高山植物園。
「高山」なので、信州の植生も思い起こさせるような展示もあって、お気に入りです。
今の時期(4月上旬)だと、スプリング・エフェメラル、春の妖精。
「エフェメラル」は、「はかない」とか「つかの間の」という意味なので「春植物」とも呼ばれますが、「春の妖精」という言葉がピッタリのように思います。
そんな早春の花々について、六甲高山植物園を歩きながら紹介しようと思います。
スプリング・エフェメラルに会いに六甲高山植物園へ
六甲高山植物園へは、バスと六甲ケーブルを乗り継いで、まずは山上へ向かいます。
六甲高山植物園へのアクセス
六甲高山植物園へは、公共交通機関を利用する場合、阪神御影駅、JR六甲道駅もしくは阪急六甲駅から神戸市バス16系統で「六甲ケーブル下駅バス停」で下車、六甲ケーブルと六甲山上バスを乗り継いで行けます。
到着すると、麓は晴れていたのに、山上では雪がちらちらと。
この時期、ある程度暖かい服装が良さそうですね。
ちなみに、バスで来た場合は写真の正面入口とは反対側の「東入口」から入園します。
高山植物とは(観察する前に)
高山植物について、そして六甲高山植物園について少しふれておきます。
欧米から入ってきた「高山植物」という呼び名
そもそも「高山植物」というのは、高山帯で見られる植物の事を言い、英語のalpine plantsの訳語です。
つまり欧米から入ってきた言葉ですが、ヨーロッパ・アルプスでの高山帯の特徴として「高木限界以上で、植物の生長期間は100日以下」、とされます。
氷河があったり、過酷な環境を想像しますが、日本で言うところの高山植物もまた、登山でしか出会えないような高地の植物の事を言います。
信州のような雰囲気を神戸で体験できる六甲高山植物園
六甲高山植物園では、そんな日本アルプスで見られるような植物と、それよりは標高の低い、(我々夫婦が暮らすような)信州の標高1500m前後の植生も含めた展示になっていて、神戸にいながら、信州のような植生を観察できます。
スプリング・エフェメラルの代表種
カタクリ
冬の厳しさは春の優しさを際立てるもので、それは気温だけでなく、視覚的にもそうです。
真っ白な風景から雪解けし、色がない中で咲き始める花の色は、厳しい冬を越したからこそより鮮やかに見えます。
スプリング・エフェメラルと呼ばれる植物は一年の内、多くの時間を地下で過ごします。
早春の短い期間に花を咲かせ、夏になると地上部は枯れ、地下茎や球根の姿になります。
ユキワリイチゲ
雪割一華、雪を割って花を咲かせる、という名前です。
ショウジョウバカマ
猩々(ショウジョウ)という中国の空想上の動物と、ロゼット状の葉を袴に見立てた名前です。
猩々は『もののけ姫』に出てきました。
敢えて寒い時期に花を咲かせる、スプリングエフェメラルの戦略
スプリングエフェメラルの生態には、戦略的な理由があります。
まだ寒さが残る季節、木々が落葉していて周りの草も茂っていない中で光合成をして花を咲かせて実を結ばせるという、寒さに耐えて競争を避けるという戦略です。
他にも、フクジュソウのように花に光を集めて温度を高めて虫に来てもらう、という虫の少ない季節ならではの戦略もあります。
様々な競争の上で現在の形態があるわけですが、スプリング・エフェメラルの花たちは背が低くて、周りの植物を押しのけるような競争はしていないように見えます。
競争を避けて地中で長く過ごす、控えめのようにも見える、そんな姿はまさに春の妖精です。
もう少ししたら、本当に賑やかな草花の季節がやってくる事を僕たちは知っています。
そして、高さを競い合う(夏の植物のように)、そういう方法とは別の生き残り戦略もあるのだと関心するのもまた、僕たちの能力であり、そうさせる植物の力なのでしょう。
「山小屋カフェ エーデルワイス」でランチ
雪が激しくなってきて、「山小屋カフェ エーデルワイス」へ逃げ込みます(笑)。
この日、ランチでいただいたのは「チキン南蛮のっけごはん」。
春野菜の南蛮漬けがトッピングされた、春の限定メニューです。
同じ時期、六甲山ハイキングで見頃の植物
最後に、六甲高山植物園周辺をハイキングした場合に見られる植物を少し。
スプリング・エフェメラルの時期だと、六甲山のハイキングコースでは、アセビの花や、アジサイの芽吹きが楽しめます。
写真を載せておきます。
六甲高山植物園
〒657-0101
神戸市灘区六甲山町北六甲4512-150
https://www.rokkosan.com/hana/
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