夏、ケヤキ並木は緑のトンネルになります。
壮大な樹形、繊細な枝が重なり合ってアーチになり、その下には陽射しがしっかりと遮られた木陰を作ってくれます。
ケヤキ並木と自転車のある風景
トンネルを自転車で走り抜けると、セミの鳴き声に包まれます。
風を切っていく感覚、足を止めると「ジーッ」というラチェット音。
車でもオートバイでもない、自転車だからこその体験です。そして、ケヤキ並木は都市部ならではの風景です。
東京=都会の木、街路樹
神戸で育った僕にとって、ケヤキという木は東京=武蔵野の木というイメージがずっとあって、(地方都市からの憧憬と合わさって)ケヤキはどこか都会的で洗練されたような印象でした。
実際に、東京にはケヤキの大木、立派な並木がたくさんあります。
根が深く、幹が太くて強風に強いという事で、徳川家康が関東平野に植えさせたという事を知って「なるほど」と納得したのを覚えています。
日本古来で現代の街路樹にも生きる樹種・ケヤキ
プラタナスやイチョウといった、街路樹や植栽でしか見られない樹種がありますが、ケヤキは日本古来の樹種で自生もしているし、現代の街並みにも生きています。
※以前に『プラタナスの並木(街路樹とヒトの関係)』という記事を作っています。
御神木としてのケヤキ
ケヤキの御神木も多いです。
御神木の多くが常緑樹の中、落葉するケヤキが選ばれているのは、何か特別な魅力を持っているのでしょう。
自転車のある風景、街並み
それは自転車と一緒に写真に収める時にも当てはまるのかもしれません。
ケヤキ並木のある街並みには“自転車のある風景”が合うのです。
クラシックな自転車も良いですが、本格的なロードバイクで、できればイタリア的な色気もあるようなバイクでしょうか。
神戸の旧居留地だと、大丸の1階の「カフェラ」でコーヒーを飲みながらランボルギーニとかマセラッティを眺めたりという趣味もあると思いますが、そういう感覚に近いかもしれません。
でも、ケヤキ並木を走り抜ける爽快さと自由な感覚を味わうには自転車が良さそうです。
落葉した冬の姿もシャッターチャンス
緑のトンネルは秋には黄葉のトンネルになり、冬は落葉します。
そのシルエットもシャッターチャンスです。
太い幹から、規則正しく一定の角度で枝が分かれていく、壮大な樹形を確かめる事ができます。
いつか表参道みたいに、神戸のケヤキも立派に育つと良いなと思います。
表参道のケヤキは樹齢100年くらいだから、神戸のケヤキはまだまだ若いです。
今よりも大きく長くなった緑のトンネルを想像すると、楽しくなります。
自然も都市も旅するヒトと植物
信州の山奥で暮らすようになって、神戸や表参道のケヤキ並木について、以前にも増して価値を感じるようにもなりました。
樹木にとって、大自然の中のサバイバルも大変だけど、戦争や大気汚染、震災、都市計画みたいな要因も加わる、そんな生き残り競争もまたタフなものです。
ケヤキは、枝と一緒に種子を飛ばします。
風に乗って河畔などに種子がたどり着いて発芽し、根を張ります。
同じように、街路樹のケヤキも種子を飛ばします。
ヒトも植物も、どこか遠くを想いながら生活をして、出会ったり別れたり、交錯します。
ケヤキとヒトの旅が創る街路樹
それぞれの街で、それぞれの季節をヒトと街路樹が創っていく。
そんな風に感じさせてくれるのもケヤキの生命力なのかもしれません。
今度帰省したら、また自転車で並木を走り抜けたいですね。
大木になるまでの定点観測です。
植物名 | ケヤキ |
漢字名 | 欅 |
別名 | ツキ(槻) |
学名 | Zelkova serrata |
英名 | Japanese zelkova |
科名・属名 | ニレ科ケヤキ属 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国 |
花期 | 4~5月 |
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