カツラ(桂)の木については、以前に秋の香りと早春の花について記事にしているのですが、今回は補足的に、カツラの実(果実)について。
カツラの木の実はバナナのミニチュアのよう
そろそろ黄葉が始まるかな?というような時季、カツラの木の枝には、緑色の実が並んでいます。
まるで小さなバナナのような形をしています。
カツラの木の雌花と果実
『日本の樹木(山渓カラー名鑑)』から少し引用します。
雌花には3~5個の雌しべがあり、柱頭は糸状で淡紅色。果実は袋果で長さ1.3~1.5センチのややそりかえった円柱形。帯紫黒色に熟して裂け、先端に翼のある種子を多数だす。
『日本の樹木(山渓カラー名鑑)』
カツラの木の花の季節
早春、カツラの木は、葉が展開する前に花が咲きます(近縁種のヒロハカツラは展開と同時に開花)。
「これが花?」というような、花弁も萼(がく)もない、小さな赤い花です。
花の色、山の色
カツラの実を眺めながら、なるほどあの小さな花なのだから、と果実の大きさ(小ささ)に納得し、花の季節を振り返ります。
カツラの木の花の季節は、樹々が芽吹いておらずまだ寒く、山には色がありません。
二度目の春、色鮮やかな秋へ
そう考えると、秋の深まりは春の雪解けのような楽しさもあるかも知れません。
アルベール・カミュの有名な言葉があります。
Autumn is a second spring when every leaf is a flower.
秋は二度目の春であり、すべての葉が花になる。
アルベール・カミュ(Wikipedia)
カツラの葉は黄色い花のように
カツラの木は黄葉し、まさに満開の花のように、山を彩る季節がもうすぐです。
やがて落葉し(花が散るように)、カツラの葉の香りが漂う、信州の山間部らしい秋になります。
実は焼きバナナのように
秋が深まり、役目を終えたカツラの実は殻だけになり、緑色から熟したバナナのような黄色に、そして最後は焼きバナナのように黒くなります。
地面に落ちた殻を拾い、カツラを見上げます。
それぞれの季節で、目の前にある花や葉、実から別の季節を想像させられるのは、植物が持つ力でもありますね。
植物名 | カツラ |
漢字名 | 桂 |
別名 | コウノキ、ショウユノキ |
学名 | Cercidiphyllum japonicum |
英名 | Katsura tree |
科名・属名 | カツラ科カツラ属 |
原産地 | 日本 |
花期 | 4~5月 |
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