プラタナスの並木は全国にありますが、日本国内での始まりは新宿御苑や小石川植物園、林試の森公園など、東京の植栽です。
この記事では、街路樹という西洋文化の一部でもあるプラタナスについて、個人的な想いを織り交ぜながら、紹介します。
緑が豊富な東京の中心部
大阪で生まれ、神戸で育った僕が初めて東京に行った時の印象は「なんて緑が多い街なんだろう」という驚きでした(20年くらい前です)。
今でもその印象は変わりません。
むしろ知れば知るほど、その印象は強くなっています。
大阪では、大きな公園と言えば大阪城公園であり、街路樹と言えば御堂筋のイチョウ並木でした。
神戸では灘区と須磨区に住みましたが、植物や緑は公園や街路樹ではなく六甲山でした。
そんな僕が東京に行って驚いたのは街中にある広大な公園と、太く立派に育った美しい並木の数々でした。
大阪も神戸も大きな街ですが、東京の主要な駅は大阪駅や三宮駅よりもずっと大きく、しかもそれぞれに皇居や新宿御苑、代々木公園、日比谷公園など、とんでもなく大きな公園や大木の街路樹が至近距離です。
東京=街路樹の象徴としてのプラタナス
そんな緑が多い東京の中で、僕が特に東京らしいと思う樹種の一つがプラタナス=スズカケノキです。
明治時代に移入された外来種で、最初に東京で植えられ(新宿御苑や小石川植物園、林試の森公園)、挿木で増やされていきました。
正確には3種類のプラタナスがあり(スズカケノキ、アメリカスズカケノキ、モミジバスズカケノキ)、国内で多いのはモミジバスズカケノキです。
酷く剪定されるプラタナスの木
そんな日本のプラタナスの木(モミジバススカゲノキ)ですが、枝を切られて裸のようになった姿をよく見かける樹種でもあります。
大木になる(大きいものでは30m)という特徴を考慮せずに植えられた結果でもあり、日本の狭い道路事情や景観についての課題の表れとも言えます。
日本の街路樹と都市、街づくり
自然や環境について考える時、都市における公園や街路樹、植物の果たす役割は大きいと思います。
日本の場合、明治維新以降に急いで海外の様式を取り入れ、植物との付き合い方も急激に変化した経緯があります。
戦争もありました。
様々な要因がありますが、各地の街づくりは後手後手に回ってしまっている感は否めません。
街路樹もその影響を受けています。
強く剪定され、ほとんど幹だけになったようなプラタナスを見るたびに、思うのです。
「何故、電柱を地中化しないのか?」
「何故、もっと低い木を植えなかったのか?」
乾燥や剪定に強く街路樹に向いている、と全国で植えられたプラタナスですが、こうした状況は樹木たちも想定していなかったでしょう。
景観としての街路樹
ローマ時代から街路樹として植えられてきたプラタナスは、西洋の都市の景観の一部でもあります。
都市への植物の取り入れ方、その根底にある自然観は西洋と東洋とでは異なりますが、日本の街づくりはその過渡期と言えます。
植物とヒトが創る街
東京の公園や大通りを歩くと、写真を撮りたくなる風景にたくさん出会います。
新緑が作る柔らかい木陰や、空も地面も黄色く埋めるような秋の黄葉、落葉してシルエットだけになった冬の樹形。
夢中でシャッターを切る時、西洋でも東洋でも、どこの大陸でも構いません。
そこにあるのは植物と僕たちとの関係性だと思うのです。
僕が好きなのは、植物と人が創る街、その象徴としてのプラタナスなのかも知れません。
植物名 | モミジバスズカケノキ※「プラタナス」はスズカケノキ科スズカケノキ属に属する植物の総称 |
漢字名 | 紅葉葉篠懸の木 |
別名 | カエデバスズカケノキ |
学名 | Platanus x acerifolia |
英名 | London planetree |
科名・属名 | スズカケノキ科スズカケノキ属 |
原産地 | ※イギリスで作出された交配種 |
花期 | 4~5月 |
※小学校の国語の教科書についての記事「『プラタナスの木』(小4国語の教科書)感想文」も作っています。
プラタナスの酷い剪定は、同じ感想。樹勢が強く葉の大きく旅行く人に憩いの日蔭を与えてきただろうに。今は「大きな葉が落ちてゴミになる」「電線に邪魔」などといわれるのは、悲しいだろうな、とプラタナスを見上げて思うのです。
坂本様
コメントありがとうございます!
プラタナスの剪定については、本当に残念な姿を見る事が多いですよね。
街路樹の計画、今後改善されていけばなぁと思います。