アサギマダラの好きな花と植物【ヒヨドリバナ属と蝶の旅】

アサギマダラとヒヨドリバナ
アサギマダラとヒヨドリバナ。

夏の間、信州の山間部では、アサギマダラが飛んでいるのをよく見かけます。

「渡りをする蝶」として有名ですよね。

先日、花に止まっているところを撮影できたので、アサギマダラが好きな花と植物について、記事にしようと思います。

アサギマダラの好きな花はヨツバヒヨドリやヒヨドリバナ

信州の山間部のアサギマダラ
我が家のすぐ近く(信州の山間部)に立ち寄ってくれたアサギマダラ。

今回撮影したアサギマダラが止まっていたのはヒヨドリバナでした。

ヒヨドリバナはキク科ヒヨドリバナ属の植物です(図鑑によってはフジバカマ属とされる事もあります)。

『謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?』から少し引用します。

アサギマダラはグルメです。
好きな花が決まっており、好みのランキングもほぼ決まっています。
(中略)
ランキングのトップに来るのは、ヨツバヒヨドリ、ヒヨドリバナ、ヤマヒヨドリバナ、フジバカマなどのキク科ヒヨドリバナ属の植物です。

『謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか?』栗田昌裕
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他に、シロノセンダングサ、セイタカアワダチソウ、アザミなどのキク科の植物にも吸蜜する事が紹介されています。

好きな理由はピロリジジンアルカロイド(PA物質)

では、なぜアサギマダラはヒヨドリバナ属の植物を特に好むのか。

ピロリジジンアルカロイドという物質(PA物質と略されます)がヒヨドリバナ属には多く含まれ、アサギマダラ(特に雄)にとって必要な物質だからだそうです。

モンパノキの葉も好き

モンパノキ(紋羽の木)
モンパノキ(紋羽の木)。

そして、このPA物質は他に、モンパノキの葉にも含まれています(花だけではない)。

モンパノキは漢字では紋羽の木、奄美以南に自生するムラサキ科の常緑低木で、沖縄の海岸にもよく見られる植物です。

アサギマダラは、このモンパノキの枯れかけた葉を舐めて、PA物質を取り込むのだそうです。

PA物質を追いかける旅

アサギマダラとヒヨドリバナ
ヒヨドリバナの仲間には、PA物質が多く含まれます。

つまり、アサギマダラはPA物質を追いかけながら、日本列島を旅しているんですね。

春には北上し、秋には南下しながら、ヒヨドリバナやモンパノキを探す旅。

信州の高原に多いのはヨツバヒヨドリですが、もう少し標高が下がるとヒヨドリバナ、というように花期のズレや種類を上手に使い分けながら、旅をしています。

ちなみに、アサギマダラの幼虫が食べるのはキジョラン等のガガイモ科の植物だそうです。

※アサギマダラがPA物質を追いかける理由について『何故アサギマダラは毒を蓄えるのか』という記事を作成しました。

アサギマダラとヒヨドリバナ

数千㎞もの距離を移動する蝶

旅を数千㎞もの距離を移動する蝶・アサギマダラする蝶・アサギマダラ
2000kmを移動する事もある、アサギマダラ。

それにしても、蝶のような小さな生物が1000kmや2000kmの渡りをする、というのは驚きです。

日本(福島県)から小笠原諸島や台湾まで渡った例がある他、オオカバマダラという北米の蝶はカナダからメキシコまで、4000kmを移動した例があるそうです。

出会えない植物を想像して

フジバカマ
こちらはフジバカマ。

信州の山間部に暮らしていると、モンパノキに出会う事はありません。

また、フジバカマは秋の七草の一つですが、今や準絶滅危惧種なので、自生はほとんど見かけません。

アサギマダラの行き先

ヒヨドリバナ
こちらはヨツバヒヨドリ。

今、信州で見ているアサギマダラが、神戸や鹿児島や、台湾にまで行くかもしれないと思うと、応援したくなるような、自分も飛んで行きたいような、そんな気持ちにもなります。

彼らは、フジバカマの香りや南国のモンパノキを知っているんですよね。

信州のヒヨドリバナを見ながら、はるか遠くを想像させられる、アサギマダラの旅です。

フジバカマは乾燥させると良い香りがします
植物名ヒヨドリバナ
漢字名鵯花
別名ヒヨドリソウ
学名Eupatorium chinense
英名なし
科名・属名キク科 ヒヨドリバナ属※フジバカマ属とする場合もあり
原産地日本、朝鮮半島、中国など
花期8~10月
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6件のコメント

 初めまして、66歳の山で遊んでいる者です。
私の住んでいいるところでは、9月上旬にヒヨドリバナが終わりその後「こしあぶら」の木の花に集まって来ます。
 又8月は蝶が全体的に小さく若いように感じられます、9月になると大きくなってきているように感じます。

中 林 様
コメントありがとうございます!
コシアブラの花にアサギマダラが集まっていますか!
我が家の敷地内にもコシアブラの木が何本もあり、
このブログでもコシアブラの記事を作っているのですが、
花にアサギマダラが集まるとは、初めて知りました!
我が家は標高1300mくらいなので、アサギマダラの飛来時期とコシアブラの花期が合わないのかもしれません。
いずれにせよ、貴重な情報をいただいて嬉しいです(^。^)
本当にありがとうございます!

こんにちは。はじめまして。

長野県大町の奥のブナ立て尾根を登山していて、アサギマダラを見ました。

シソ科のテンニンソウ?と思われる花についていましたが、シソ科の花にもつくのでしょうか?
登山の行きも帰りも熱心に花についているところを見ました。

はまの様
はじめまして!
コメントありがとうございます!
テンニンソウ、栗田昌裕さんの本では言及されていないのですが、
赤城自然園の記事で「フジバカマの他アザミやテンニンソウに、たくさんのアサギマダラが訪れています」と書かれているので、
おっしゃる通り、アサギマダラはテンニンソウにも吸蜜するようですね(^。^)
僕も勉強になりました!ありがとうございます!

 アサギマダラを庭に呼びたくて、昨日熊本市内のホームセンターにフジバカマの苗がないか行ってみました。苗は見つかりませんでしたが、コスモスが10本程置いてある所で、なんとアサギマダラを発見しました。他の花には見向きもせず、コスモスの花の蜜を吸っていました。わずか一羽でしたが、衝撃的な「初対面」でした。

佐々木一郎様
熊本からの情報、ありがとうございます!
アサギマダラ、コスモスに吸蜜していましたか(^。^)
Google検索してみると、確かにアサギマダラとコスモスの写真もいくつか見つかりますね!
好みはあるとはいえ、かなりいろんな植物に吸蜜するのでしょうね!
勉強になりました!コメントありがとうございました(^。^)

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ABOUT US
しょうじ(Shoji)
神戸出身、2016年に信州の山奥に移住。植物のある生活、自然の中での生活について、このブログ(サンブーカ)で記事を作っています。食や自転車、インテリアなど“イタリア的な山暮らし”の楽しさもテーマにしています。